前回までのあらすじ
DX推進の担当者がやるべきこと、そして会社に協力してもらうべきことをつかんだ初心さん。地道に改革のための現状把握をしていくことを誓います。いよいよDXを実行していこうと意気込んでいるようですが…?
いろいろ頑張って、社内の情報をまとめて社長に経営ビジョンを決めてもらいましたよ~!
素晴らしい! では実行あるのみですね。
ゼロからわかる!RPAと導入のコツ
「RPAとは?」「RPA導入を考えているけれど、どうすればいいのかわからない」といった方に向けて、わかりやすく解説した資料です。
DX推進は、課題を見つけて集中して解決に動く
…なにから実行すればいいのかわからない…
会社の「目指す姿」が決まったら、現在と目標とのギャップを考えてみましょう。
経営の「目指す姿」が決まると、現在との状況や考え方、利益や市場でのポジションにギャップがあるはず。それが自社の抱える課題です。
課題を解決するために、もっとも効果が高いと思われる部署、あるいは業務から改革を進めていきましょう。
解決する課題が見つかれば、そこからどんな解決ができるか考えてみてください。まずは集中して、一つの課題を解決するためにメインとなる部署に協力を仰ぎましょう。
「目指す姿」に向かってDXを推進していくのは一大プロジェクトです。しかし、千里の道も一歩から。まずは小さく始めて成功と失敗をたくさん経験していきましょう。
じゃあ、課題解決したい事業コアになってる部署から進めていこう!
DX推進の準備① BPRとは?
…なにから実行すれば…(2回目)
前回も触れましたが、DXを前提とした業務改革にBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)の考え方は重要です。
BPRとは「コスト、品質、サービス、スピードのような、重大で現代的なパフォーマンス基準を劇的に改善するために、ビジネス・プロセスを根本的に考え直し、抜本的にそれをデザインし直すこと」と定義されています(マイケル・ハマー&ジェイムズ・チャンピー著「リエンジニアリング革命」より)。
この定義にある特徴的なキーワードを、三菱UFJリサーチ&コンサルティングがさらに細かく解説しています。
根本的:いったいなぜ現在それを行っているのか、そしてなぜそれを今の方法で行っているのか、といった根本的な質問をすること。
抜本的:表面的な変革を行ったり、既存のものに手を加えたりすることではなく、古いものを捨ててしまうこと。
劇的:業績において小さな改善や漸進的な改善を行うことではなく、大飛躍を達成すること。
プロセス:ビジネス・プロセスを、1 つ以上のことをインプットして、顧客に対して価値のあるアウトプットを生み出す行動の集合と定義する
(「民間企業等における効率化方策等(業務改革(BPR))の国の行政組織への導入に関する調査研究」三菱UFJリサーチ&コンサルティング、2010年)
より詳しく表現するなら、「小さな改善で業務を効率化するだけでなく、大きな成果を出すために、現在のビジネス・プロセスに対して“なぜ行っているのか”を問い直し、不要なものは捨てたり、より効率的なプロセスに作り変えたりすること」と言えます。
今までのやり方に手を加えるんじゃなく、丸ごと見直すってトコロがポイントですね!
その通り。では、どうやって進めるのか手順を見ていきましょう
DX推進の準備② BPRの進め方
BPRは大きく5つのステップに分かれていて、8つの手順で進行していくのが一般的です。
検討ステップ
- 目的・目標の設定
- 対象とする業務範囲の設定
分析ステップ
- 分析・課題の把握(業務内容、フロー、組織)
設計ステップ
- 戦略・方針の策定、実施方法の検討
- ビジネスプロセスの設計(業務フロー、ルール、組織)
実施ステップ
- 変更の実施
モニタリング・評価
- 業務モニタリング
- 効果測定・達成度評価
評価ができた後は、未達部分については検討ステップに戻ってサイクルを回していきます。
そして、ここで大切なのはBPRと同時にデジタイゼーション・デジタライゼーションも進めていくことです。
DXの基盤① デジタイゼーションとは
でじたいぜーしょんってなんですか??
デジタイゼーション<Digitization>とは、アナログ・物理データをデジタルデータ化することです。
たとえば、保管しておきたい紙書類をスキャンしてPDF化する。あるいは、手書きの書類や注文票、伝票などをAI-OCR※で読み取り、電子データ化する。日報を紙ではなくメールで送信したり、システムや日報アプリに直接記入したりするようにする、といった方法もあります。
※OCRは、あらかじめ設定した活字や手書き文字などを画像データとして取り込み、編集可能なテキストデータに変換する技術(光学式文字認識)のこと。AI-OCRは設定外の活字にも対応し、学習することで対応範囲を広げていきます。
これらは全てデジタイゼーションにあたります。
デジタイゼーションは、ここだけ見ると「ただデータになっただけ」「紙のままじゃいけないの?」と、変換作業を手間に感じてデジタル化に抵抗を覚える方も出てきます。
しかし、デジタイゼーションはDXの基盤です。なぜなら、データ化していないとこの後に控える効率化はもちろん、工程を見える化したり、数値化したりして分析することができないからです。
それに、紙書類をPDF化するといった比較的カンタンなデジタイゼーションでも、検索すればすぐにほしい書類データが見つけられるなど、利便性もアップします。また、物理的に書類保管庫も最低限で良くなり、経費面でもメリットが得られます。
BPRで業務を整理しながら、デジタイゼーションが可能な項目も一緒に洗い出してしまいましょう。
(DXの基盤② デジタライゼーションとは?
字面で判別しづらいデジタライゼーションとは? 親戚かなにか?
デジタライゼーション<Digitalization>とは、個別の業務・製造プロセスのデジタル化のことです。
たとえば、FAXで送られてきた注文書をAI-OCRでデータ化し、注文書データの発注をRPAで基幹システムに自動入力する。アプリ作成ツールで作った日報アプリに記入した後、メールで上司に連絡が行き、確認後は承認ボタンを押すだけで指定されたフォルダへ格納される。
このようなデジタル化の先にある業務自動化をデジタライゼーションと言います。
今までデジタライゼーションのことをDXだと思ってました…
そう考えている方は多いですね。ただ、DXはこの先にある、もっと大きな変化です。ここで止まっていてはもったいないですよ!
デジタライゼーションまで行えると、業務効率も格段にアップします。RPAで年間の業務時間が約480時間削減できた事例もあります。
また、RPAのほかにもExcelVBAやPythonといったプログラムによる自動化、Microsoft 365のようなサブスクリプションサービスに含まれるアプリ作成ツールや自動処理アプリなどを活用する方法もあります。
参考:初心、RPAを学ぶ:第7回「RPAだけじゃない? 業務を自動化するさまざまな方法を知っておこう!」
DXの一歩目は、歩幅を小さく
「DXやるぞ!」って言い始めて、RPAを導入するようになった過程がわかりました! 私頑張ってよかった~
RPAの活用は業務効率化には欠かせませんからね。DXに一歩ずつ近づいていますよ
DXのもっとも大きな壁は「目標が大き過ぎて道程がわからない」という点です。しかし、課題の抽出から注力する業務・部署の選定、課題解決のためのプロセスなど、それぞれ小さく切り分けて考えていくと実行しやすくなるでしょう。
また、小さなプロセスに分解していくと、計画やコストなども見えてきます。一朝一夕にはいかないのがDX。長期計画と考えて、じっくり取り組んでいきましょう。
DXは大きく巨大な山です。頂上を目指すには入念な準備と時間が必要です。しかし、準備に時間をかけ過ぎても頂上までの距離は縮まりません。頂上を目指すと決めてある程度計画を立てたら、あとは登りながら計画を修正していきましょう。
参考:変化の激しいVUCA時代を乗り越える「アジャイル」な考え方
うちはもうRPAを導入してるけど、あらためて「目指す姿」に合わせて業務を見直してみようっと!
目標が定まると、前回見えなかった部分が見えてくると思いますよ。定期的な見直しはどんな業務にも必要です!
次回はDXが進まない“あるある”な現場をご紹介します!
つづく
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