最近よく耳にする「API」。なんとなく、「使えると便利になる」というざっくりとしたイメージで理解されている方が多いのではないでしょうか?
AWSやSNS、ChatGPTなど話題のツールを使用するのに、APIの理解は欠かせません。また、APIについて理解していれば打合せなどのビジネスシーンで自信をもって発言したり、進行したりできるでしょう。
本稿では、APIとはなにか、どのように使うのかを専門家ではない方にもわかりやすく解説します。最後まで読むことで、自信をもって話題のデジタルツールについて意見を出し合うことができるようになるでしょう。
APIとは
API<Application Programming Interface>とは、ソフトウェアやプログラム、Webサービスの間をつなぐインターフェース(接続口)のことを指します。わかりやすく説明すると、ソフトウェアの機能を共有できる仕組みのことです。
APIはソフトウェアやアプリケーションなどの一部を外部に向けて公開することにより、第三者が開発したソフトウェアと機能を共有できるようにしてくれます。
APIを使用すれば、自分で開発したアプリケーションに他のサービス機能を組み込んだり、逆に自分が提供するサービスを他のアプリケーションから利用してもらったりすることもできます。
APIの種類
APIはさまざまなところで使用されている技術で、いくつか種類があります。
APIの種類 | 説明 | 例 |
---|---|---|
ネイティブAPI | OSが持つ機能を、ほかのアプリケーションでも呼び出せる | Windows など |
ライブラリAPI | フレームワークを提供 | Java Spring Framework, C++ STL など |
ランタイム※API | ランタイム環境を提供 | DOM API(JavaScript), Ruby on Rails API など |
データベースAPI | データベースが提供し、データを効率的に扱える | Google「Firebase」など |
Web API | HTTP/HTTPSを通じてリクエスト/レスポンスを行う | Google、facebook など |
非エンジニアにとってはWeb APIがもっとも馴染みがあるでしょう。一方で、エンジニアにとっては他のAPIを指していることもあります。「API」と言っても、示す内容が異なりますので、その場でしっかりと確認をしておくと誤解や齟齬が少なくなるでしょう。
Web APIやデータベースAPIのようなネットワークを経由してサーバにアクセスすることを前提にしているAPIの場合、アクセスに制限をかけなければサーバに過度な負担がかかります。このため、アクセスにどのような制限をかけるかによっていくつかの提供方式に分かれています。
Web APIの提供方法
名称 | 利用者 |
---|---|
パブリックAPI | 登録すれば誰でも利用できる |
ビジネスAPI | 課金契約などを通じて利用する |
メンバーAPI | 開かれたコミュニティメンバーが利用する |
パートナーAPI | パートナー企業や協力組織が利用する |
クローズドAPI | 社内・組織の内部で利用する |
プライベートAPI | 特定の開発者やユーザーのみで利用する |
どのようなAPIの提供方式が取られるかは「APIを提供する対象と目的」によって異なります。
パブリック・ビジネス(商用)・メンバーAPIは、利用登録・契約・審査などが伴うものの、基本的には誰でも利用申請ができるオープンなAPIです。多くの人に利用してもらうことが目的であれば、これらの方法で APIが提供されているでしょう。
対して、パートナー・クローズド・プライベートAPIはユーザーが限定されたAPIです。サーバに制約がある、などはこちらの方法で提供されるケースが多いです。
Web APIとは
Web APIとは、HTTP/HTTPSを介して利用されるAPIのことです。インターネット上で公開されているWebサービスを呼び出すことで、他のサービスと連携することができます。Google、twitter、Outlook、Windowsなど、各社からさまざまな機能がインターネットを介して提供されています。
Web APIでは、大きく3つのことが可能です。
- コンテンツ(テキスト情報、リンクや画像URL等)の取得、投稿
- 画像の取得、アップロード
- 認証(ログイン)などの機能の利用
このWeb APIは私たちにもっとも身近なAPIで、多くのWebサービスでWeb APIが利用されています。たとえば旅行情報サイトにおいて、宿検索の項目で他社トラベル系サービスのホテル・宿の情報が表示され、アクセス情報はGoogle MAPなどで表示されている、という表示は珍しくありません。このような表示をするサイトは、ほとんどがAPIを利用しています。
複数のWeb APIを組み合わせて、1つのWebページ・Webサービスかのように表示することを「マッシュアップ」と言います。
APIを利用するメリット・デメリット
APIを利用するメリットは、複数のサービスを組み合わせ、自社にとって利便性の高いサービスがスピーディーに開発できる点にあります。また、APIからレスポンスされる情報はAPI提供事業者側が更新・メンテナンスを行っているため、最新の情報が反映され、サービスの管理も容易になります。
一方、デメリットもあります。
APIは提供側が任意で公開していることから、提供側の都合でサービス停止・アップデート終了の可能性があります。加えて、不具合が発生しても自社で対応することができません。また、APIは無料のケースも多いですが、料金が発生することもあります。
APIはとても便利ですが、デメリットも考慮しなければ運用や計画の変更を余儀なくされることもあります。
2023年7月に、Twitter社がツイートを取得するAPIに制限を設けたことから、SNS界隈では大混乱が起きました。こうした提供側の一方的な変更が生じても、利用者は対処できません。この直前、Twitter社はそれまで無料で公開していたAPIに高額な料金を設定していたため、プロモーションの計画を変更する企業も少なくなかったでしょう。
上記のメリット・デメリットを考慮し、リスクを把握した上でAPIを取り入れていきましょう。
まとめ
APIが意外と気が付かないところで、数多く利用されていたことがわかったのではないでしょうか? APIがあることで、私たちは日々便利なサービスを使うことができています。
プログラマやサービス提供者でなくとも、APIの理解があれば、「このサービスと組み合わせれば、新しい価値が提供できるのでは?」といった新たな視点を得ることにもつながるでしょう。
今回ご紹介したChatGPTのAPIは、組み合わせ次第で大きく業務効率化が図れるサービスでもあります。こうしたサービスとともにRPAやBIツールを活用することで、社内のDX推進を後押しすることにもつながることが期待できます。
APIは実際に使用しなくとも、Webサービスの利用が不可欠な現代において、知っておいて損のない知識です。「もっと詳しく学びたい」「ほかの効率化ツールと組み合わせる方法が知りたい」「社内のITリテラシーを底上げしたい」という方は、ぜひロボフィスまでお問い合わせください。
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