日々の業務で生じる繰り返し作業やルーチン業務に対して「やる気がでない…」「もっとカンタンに処理できる方法はないかな?」と考えることはないでしょうか?
そうしたビジネスマンの悩みに効くのが「RPA」です。Robotic Process Automation=「ロボットによる処理の自動化」は、大手企業や自治体を中心に導入が進んでおり、すでに職場で活用されている方もいるでしょう。
一方で「別の部署が管理しているから関係ない」「前任者が作ったロボットの実行ボタンを押すだけ」とRPAに関わるきっかけが薄い方もいるでしょう。
しかし、RPAは繰り返し作業やルーチン業務、ひと手間がかかる処理を自動化する、ビジネスマンにとって欠かせないツールです。活用するために前向きに学んでおいて損はありません。
本稿では、RPAについて解説し、個人で試せる無料RPAツールをご紹介。さらに無料RPAソフトを使った学習のヒントもお伝えします。
これまでRPAを学ぶきっかけをつかめなかった方はもとより、「RPAに興味があったけれど、どこから学習していいかわからない」という方にも、参考になるように解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。
【RPAツール徹底比較】自社に最適なRPAツールとは?
代表的なRPAツールである「WinActor」「UiPath」「Power Automate Desktop」、3つの特徴をまとめて比較しました。
特典として、それぞれのツールで同じ作業を自動化した比較動画のURLも掲載しています。
RPA導入にお悩みの方、ツール選定の決め手に欠ける方はぜひご活用ください。
RPAとは
RPAとはRobotic Process Automationの略称で、「ロボットによる処理の自動化」を意味します。ここで言うロボットは「ソフトウェアロボット」のこと。ソフトウェアやアプリケーションが、設定された通りに自動で作業を処理します。
近年のRPAはローコードツールといって、プログラミング知識がほとんどなくてもロボットを作成できるようになっており、非エンジニアでも扱えることが大きな特徴です。このため、わざわざ外部エンジニアを雇用しなくても業務自動化ツールを内製できる点がRPAの大きなメリットと言えます。別途システム開発なども必要なくなる可能性もあり、業務効率化にかかる費用を抑えられることが期待できます。
RPAは、残念ながらどんな業務も自動化するわけではありません。RPAが得意とする業務範囲があります。
RPAが得意とすること
●電子化(データ化)されている情報を扱うこと
●同じ動作を正確に繰り返すこと
●処理判断が明確な作業(正誤がはっきりしている。判断基準がマニュアル化されている)
一方で、アイデア出しや分析結果の解釈などクリエイティブな業務や、一作業に対する後の判断が複数あるなど複雑な判断の実行、手順を守っても同じ結果にならない業務などは不得手です。
逆に言えば、このような機械化・自動化できない業務に人間の業務時間を集中投資できるようにするために、自動化可能な業務をRPAに任せられる環境づくりが重要と言えるでしょう。
具体的には、以下のような業務がRPAで自動化するのに向いていると言えます(全て一例)。
【総務】
- 残業時間の管理
- 社内ルールの周知・告知
- 社内報告書・数値の整理
【経理】
- 受発注業務
- 契約書等の書類作成
- 交通費など経費申請の内容確認
【営業】
- 売上の集計
- 顧客情報の入力
- 日報の作成
RPAがもたらす業務効率化のメリット
先述したように、RPAはさまざまな定型業務を自動化することが可能です。これによって、業務時間や工数が削減できるほか、多くのメリットがあります。
人的ミスの減少
RPAは人間が決めた通りに作業を実行します。機械ですので、人間のように誤字や変換ミス、コピーする行を一行間違えた、といったよくあるケアレスミスが一切なくなります。
そのため、こうした人的ミスの修正にかかっていた時間も削減することができます。
担当者の精神的負担の軽減
作業をRPAが行うことで、担当者の精神的負担も軽減することが可能です。
たとえば経理業務は金銭を取り扱うことから、「絶対にミスしてはいけない」という意識が、ともすると担当者の精神的な負担にもつながりかねません。人的ミスを減らすということは、ミスに付随する精神的負担も軽減することにつながるのです。
365日稼働できる
ロボットであるRPAなら、365日稼働可能です。たとえば、サーバの監視業務はシステムの安定運用に欠かせませんが、常時監視するのであれば夜勤や土日祝日の勤務体制を整えなければなりません。人材不足と言われる昨今、監視業務に人員を割くのももったいないものです。そうしたケースでも、RPAであれば労務条件の整備も人件費も不要です。
本来やるべき業務に集中できる
単純作業やミスの修正などが削減できると、本来やるべき業務に集中する時間を増やすことができます。その結果、大きな成果につながることも期待できるでしょう。あるいは、既存業務をRPAを通して整理することで、より良い社内体制や業務フローを構築することにつながるかもしれません。
個人で取り組むRPA
ビジネスマンにとって、業務効率アップを図るためにRPAはなくてはならないツールです。一方で、RPAの導入は企業や組織が経営戦略の一環として導入することが多く「興味はあるけど、うちの会社は導入していない…」というケースもあるでしょう。そんな場合は、まず個人でRPAの業務効率化に取り組んでみてはいかがでしょうか。
実はRPAも個人利用であれば無料のツールがあります。以下にご紹介するのは、いずれも無料のRPAツールです。ご興味があれば、試しに触ってみるといいでしょう。
Power Automate Desktop(パワー・オートメート・デスクトップ)
Power Automate Desktopは、Microsoftが提供するデスクトップ型RPAです。Microsoftが提供しているため、WordやExcelといった約40あるMicrosoft各種アプリとの連携に強みがあります。Microsoftアカウント(無料版含む)があれば、無料・機能制限なしで使用できます。
ただし、Power Automate Desktopでつくったフロー(ロボットへの指示)を他者と共有するには有料の手続きが必要です。
ExcelやWordといったOfficeソフトはビジネスで利用している方も多いはず。Microsoftアカウントを持っているのであれば、Power Automate DesktopでRPAを体験してみると良いでしょう。
こちらも参考「Power Automateとは?」
UiPath(ユーアイパス)
UiPathは、世界的なシェアを誇る海外製のRPAツールです。デスクトップ型とサーバ型を提供しています。ソフトウェアとしてのポテンシャルは高く、稼働ロボットの一元管理や人間による承認業務の組み込み、自動化業務におけるプロセスの可視化など多様なツールが用意されていて、自社の業務に合わせてカスタマイズできる高い拡張性が特徴です。
個人利用、および250台未満の物理もしくは仮想PCを利用していて、年500万ドル(日本円で約5億4千万円)以下の売上の企業については無料で使用することができます。公式サイトには学習コンテンツも用意されていて、自主的にRPAを学ぶのにはぴったりです。
ただし、UiPathはノーコードツールでありながら、ほかのRPAツールと比較してプログラミング知識が必要な場面が多くなっています。学習コンテンツや公式サイトも英語からの翻訳であるため、やや難解な表現も見受けられます。RPAと同時にプログラミングも学ぶつもりで触ってみてください。
身近な業務を自動化しよう
RPAツールを手に入れたものの、「何の業務を自動化すればいいかわからない…」と手が止まってしまう方もいるかもしれません。そんな方は、身近に「手間がかかる繰り返し業務」はないか、少し考えてみてください。
メール内容を基幹システムに転載する
Webシステムから情報をCSV形式でダウンロードして、見た目を整える
決められた条件の対象者にメールを送信する
こんな業務は、どんな業界や職種でも発生しているのではないでしょうか?
- 決められた基準と決められた手順である
- 決められた条件下(日付、時間)で作業をスタートする
- 繰り返し作業
このような条件の業務があれば、一度RPAによる自動化を考えてみてください。
ご自身の業務範囲で思いつかなければ、ご自身が所属するチームや同僚と話して、一番面倒だと思う業務から自動化をはじめてみてもいでしょう。
無料RPAツールを使ってみよう
Power Automate Desktopには、ソフトウェアのTOP画面にサンプルフローが用意されています。
業務自動化でよくある以下のような作業が事前に用意されているので、それを見て、Power Automate Desktopがどのようなものか触れてみるといいでしょう。
サンプルは大きく3つのカテゴリが用意されています。
Excel自動化
Webオートメーション
デスクトップオートメーション
ここでは「Excelの自動化」をクリックしてみましょう。 「Excelの自動化」の中にも4種類サンプルが用意されています。
フローの詳細も見ることができ、修正して実行することも可能です。
まとめ
RPAは業務効率化に欠かせないツールです。多くの場合、企業として全社導入することになるでしょう。しかし、全社導入したとしてもRPAを管理する人材は必ず必要です。RPAを学ぶことは、自身の市場価値を高めることにもつながるでしょう。
また、ご自身でRPAを試してみて、それを職場内に広げることも、企業全体の業務効率化の第一歩となります。現場で試してみて、ボトムアップで業務自動化を行っていくことも業務自動化・デジタル化には不可欠な要素です。まずは無料のRPAツールを試してみて、全社導入を考える際は、あらためて自社にあったRPAツールを選んでください。
本稿でご紹介したRPAツールは無料のものですが、一部英語表記であるなど、多数の非エンジニアが使いやすいとは言い難い面もあります。有料のRPAツールの中には、ご紹介した無料RPAツールよりも、より直観的に操作できるものがありますので、ぜひ比較検討してみてください。
また、全社導入するとなると、組織的な運用も考慮する必要があります。その際は、ぜひ外部のパートナー企業を頼ってみてください。
ロボフィスではRPAを構築するのみならず、業務効率化のために業務フローの見直しから社員のITリテラシー向上まで、幅広い視野と深い知見で企業の業務効率化をサポートしています。ご相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
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