ウクライナ情勢に端を発した食品・石油などの高騰、それらに影響された物価高など、日本市場は刻々と変化しています。
物価高、少子化、団塊世代の退職…もはやこれまで通りの業務手順とコストでは企業を成長させることは困難です。考えられるのはコスト削減ですが、少子化の今、かつて行われた人員整理なども行うことは難しく「どこを削減すればいいのか」という状況でしょう。
そこで重要なのが、業務効率化です。
業務のやり方を見直し、効率をアップすることでムダな残業時間を削減できれば、人件費カットにつながります。また、時間のかかる業務を見直して作業時間を削減できれば、より生産性の高い業務に人員を割くことも可能になります。
本稿では、コスト削減につながる業務効率化、そしてその先にあるDX(デジタルトランスフォーメーション)について解説します。
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業務効率化とは
コスト削減を目指すべく、業務効率化について改めて考えを整理しておきましょう。
業務効率化とは、業務における「ムリ・ムダ・ムラ」を排除して、より効率的に業務を遂行できるようにするための手法です。業務の効率化を図ることで時間的・経済的なコストを削減し、生産性を向上させることで、引いては企業全体の業績を向上させることが期待できます。
コスト削減を促す業務効率化には、以下の3つのポイントがあります。
- 優先度の高いタスクに集中する
- 業務の流れや手順を見直す
- デジタルツールの活用
一つずつ解説していきましょう。
コスト削減を促す業務効率化① 優先度の高いタスクに集中する
業務効率化の重要なポイントの一つは、時間の使い方です。例えば、優先度の高いタスクに集中すれば効率的に仕事を進めることができます。
「それができれば苦労はしない…」と思われた方もいるかもしれません。日々イレギュラーな対応に追われ、ようやく本来の自分の業務に着手できるのは就業時間後…という方も少なくないでしょう。
そんな時は、「やらないこと」を決めることも重要です。
例えば、突然上司や同僚から「明日までに資料をつくって」と依頼されるとします。
急な仕事に、他の業務の手を止めて慌てて着手するかもしれません。しかし、その資料は本当に明日までに、自分が作成しなければならない内容でしょうか?
話を掘り下げると「実は最後に自分で手を入れる予定で、早めにたたき台がほしい」という内容かもしれません。それであれば、資料として体裁を作りこまず、アウトラインだけを作成してしまえばいいでしょう。
時折、「作るのは自分でなくともいい」「むしろ自分が作るべきではない」という依頼が舞い込むこともあるかもしれません。断るのがもっとも良い方法ですが、新人や転職した直後など、社内の頼まれごとを断るのが憚られる状況もあるでしょう。
引き受ける際は相手の要望に応えつつ、最低限のタスクで終わるようにしっかりとヒアリングすることが、時間を有効に使い、自分にとって優先度の高いタスクに集中することにつながります。
コスト削減を促す業務効率化② 業務の流れや手順を見直す
業務効率化のためには、仕事の流れや手順を見直すことも重要です。
例えば、「メールの内容をExcelにコピー&ペーストする」など、同じ作業を繰り返し行う場合、「本当にその作業は必要なのか」「その先の工程で役立っているのか」を改めて考えてみるといいでしょう。「社内の慣習になっていたけれど、作業の後工程を引き受ける部署に問い合わせると、とくに必要ない作業だった」ということもあるものです。
この時、確認するのは自分の部署だけでなく、前後の工程を行う別部署の実態も一緒に調べてみてください。
難しく考えてプロジェクトとしてとらえずとも、関係部署の担当者に立ち話でもいいので声をかけてみることから始めてみてください。意外と「そっちの部署が必要だと思ってやっていた」という声が聞こえてくるかもしれません。
コスト削減を促す業務効率化③ デジタルツールの活用
自分の時間を見直し、業務工程も見直して、それでも削減できなかった業務もあるはずです。そこで考えるのが、デジタルツールの活用です。
Excelにはマクロと呼ばれる自動化プログラムが備わっています。これは、マクロを作ることでExcel作業の一部を自動化できるというもの。マクロにはVBAというプログラム言語の知識が必要ですが、この際勉強してみてもいいですし、社内に詳しい人に依頼するのもいいでしょう。
また、話題の生成AIを活用するのも一つです。
データ予測や収集などはAPI※連携が必要ですが、そのような専門知識がなくてもメールの作成や資料作成、日報作成に活用でき、文書作成や企画書作成が苦手な方にとっては頼り甲斐のあるツールです。社内の利用規定を確認しつつ、積極的に使っていきましょう。
※サービス提供者側が公開している、ソフトウェアやプログラム、Webサービスの間をつなぐインターフェース(接続口)のこと
関連コラム:ChatGPT×RPAで業務効率化! 一歩先行く活用アイデアとは?
DXの進め方 第11回「どう使う? 話題のChatGPTの使い方」
ChatGPTだけじゃない! AIチャットサービスの特徴を比較
また、近年はRPAを導入する企業や組織も増えています。
RPA<Robotic Process Automation>とは、ソフトウェアロボットを使用して、繰り返される業務プロセスを自動化する技術です。ロボットはパソコンを操作したり、データの入力や変換、処理したりします。
RPAを導入するメリットに、高い効率性が挙げられます。繰り返し行うルーティン業務や大量のデータ処理など、人手で行うと時間や労力がかかる作業を自動化することで、作業のスピードや精度を向上させることができます。また、担当者の人的ミスや精神的疲労を減らすこともできます。
【RPAツール徹底比較】自社に最適なRPAツールとは?
代表的なRPAツールである「WinActor」「UiPath」「Power Automate Desktop」、3つの特徴をまとめて比較しました。
特典として、それぞれのツールで同じ作業を自動化した比較動画のURLも掲載しています。
RPA導入にお悩みの方、ツール選定の決め手に欠ける方はぜひご活用ください。
このように個人の努力からはじめて、部署間の業務フローの調整、デジタルツールの導入と段階的に実践していくことによって、確実にコスト削減を実現しながら業務効率をアップすることができるでしょう。
業務効率化の事例
実際に、業務の手順を見直してデジタルツールで業務を自動化・効率化した事例をご紹介しましょう。
備品や押印、出張などの申請フローを自動化
これは弊社の事例です。
以前より総務担当部署では備品や名刺の発注、書類の押印・発送、出張申請など、個別で担当者に連絡が入っていました。しかも連絡手段は電話やチャット、メールなどばらばら。証跡がないことも多く、上長に何度も確認を取るなど非効率なフローになっていました。
そのフローを一度見直して、業務を自動化。
Microsoft 365に用意されている「Forms」「Power Automate」というアプリを使用して自動化を実現しました。
Forms:アンケート作成ツール
Power Automate:RPAツール
申請フォームには必須項目を設けることで記入漏れがなくなり、さらに窓口が統一されることで総務全員が情報共有できるようになりました。また、申請内容をデータで管理できるため、対応漏れもなくなりました。
いずれのアプリも、使いこなすのに難しいプログラミング知識は必要ありません。Microsoft 365を導入している企業であれば、すぐにでも業務を効率化できる方法です。
詳細はこちら:自社事例 申請フローのデジタル化・自動化
業務効率化の先にあるDX
さまざまな社会情勢の変化で、これまで通りのビジネスモデルが通用しなくなりつつあります。そんな中で取り組むべきなのがDXです。
DX<Digital transformation>とは、デジタルテクノロジーを使用して、ビジネスプロセス、文化、顧客体験を新たに創造(あるいは既存のそれを改良)して、変わり続けるビジネスや市場の要求を満たすプロセスです。経済産業省が主導となってさまざまな施策が実施されていて、大企業を中心に、DX推進を行う中小企業向けの助成金なども設けられています。
よく誤解されていますが、DX=デジタル化のことではありません。デジタル化は、あくまでもDXに至るための一歩目に過ぎません。デジタル化を進め、業務を効率化し、本来手掛けるべき価値の高い業務を行うことで生産性を高め、さらに業務内容や組織を変革(トランスフォーメーション)することがDXなのです。
最新テクノロジーを活用することは、コスト削減や業務効率化につながるでしょう。そこで歩みを止めてしまうのではなく、ぜひDXを推進し、自社ならでは強みを発揮できるよう考えてみてください。
参考:初心と学ぶ、DXの進め方 第2回「DXの成功事例を見てみよう」
まとめ
時間の使い方を見直し、優先度の高い業務に集中し、業務フローを見直して、生成 AIやRPAといった最新テクノロジーを活用する…これらを行えば、確実にコスト削減を叶えつつ業務効率をアップさせることができるでしょう。さらには、これらがDXにつながっていくことも期待できます。
しかし、実際には言葉通りにうまくいかないことも事実です。
とくに業務フローの見直しは、気がついている人がいつつ、組織内にいるとなかなか言い出せないこともあります。また、不便は感じているけれど、どこに原因があるのか、自社や自部署だけでは見つけられない、といったケースもあるでしょう。
そんな時は、自社だけで課題解決を図るのではなく、外部の協力会社を頼ってみてください。
ロボフィスは全国に事業所を構え、地域の特性やクライアント企業の文化を踏まえた業務効率化・DX推進、それらに関するRPAやBIツールといったデジタルツールの内製化や社内研修を支援しています。リモートによるお打ち合わせはもちろん、現地でのヒアリングも無料で行っているため、ぜひお気軽にご相談ください。
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