業務のIT化や自動化が進んでいます。大企業ではAI-OCRやRPA、生成AIの活用が定着しつつあり、中小企業でも取り入れる企業は珍しくなくなってきました。
そんな中、次のステップとして注目されているのがデータ活用です。
IT化の最大のメリットは、あらゆる業務情報をデータとして集約・分析してさまざまな場面で活用できる点にあります。すでにデータ活用に挑戦する企業のなかには、これまで職人が手掛けていたものの後継者不足のため事業継続が危機的ななか、データを活用して職人技を残していこうとしているケースもあります。
本稿では、データ分析で活用したいBIツールと、その中でももっともはじめやすい「Power BI」について解説します。
「データ活用したいけれど、何からはじめていいかわからない」「解説を読んだけど、意味がわからない」という方に向けて、わかりやすく説明していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
ロボフィス 研修サービスのご案内
ロボフィス株式会社が提供する研修サービスについて記載しています。
組織内のITリテラシーの向上や、実際にITツールを使用する実務者に対する研修を、会社の風土や文化に合わせたオリジナルカリキュラムで提供しています。
BIツールとは?
BIツールとは「さまざまなデータ処理と分析を行い、データを可視化してビジネスの意思決定をサポートするツール」を指します。もともと、BI<Business Intelligence>とは「ビジネスの意思決定に関わる指標」のこと。この指標を作るためのツールがBIツールです。
BIツールはそれぞれアプリに特徴があるものの、基本機能は4つです。
レポート機能
グラフや図などを用いてレポートを作成します。
OLAP※分析
どんな場所で、どんなモノが売れているかなど、大量のデータを整理してわかりやすく分析します。
※Online Analytical Processingの略。多次元分析。
データマイニング
大量のデータからパターンや規則性を見つけ出すことです。
プランニング
過去のデータを分析し、予測することで将来の目標や計画を立てます。
上記の分析をBIツールなしに行うには、データ分析に関する高度な知識とスキルを持つ人材、そして膨大な作業時間が必要です。BIツールを使用すれば、データ分析に関する専門知識がなくとも上記の分析を短時間かつ高精度で行うことができます。
こうしたデータ分析を行うと、どんなメリットがあるのでしょうか?
たとえば、店舗の売上集計を分析するとします。これまでのデータから、顧客層の傾向、購入のタイミング、トレンド、顧客の購買活動に連動した経営状態などを素早く把握することが可能です。これらは現場においても仕入れや取扱商品の検討、キャンペーン活動のヒントになり得ます。
さらに、データ結果の中で経営課題を発見でき、いち早く対処できれば、経営上の危機を未然に回避することにもつながります。
BIツールを導入することで、さまざまな分析を行い、データを「見える化」することでビジネスの現状を素早く把握することにつながり、より適切な経営の意思決定を行えるようになります。
Power BIとは?
会社経営や営業活動に欠かせないBIツールですが、その中でもはじめやすいのが「Power BI」です。
Power BIはMicrosoft社が提供するBIツールです。データの集計や可視化(ビジュアル化)を行い、組織の現状分析と意思決定をサポートしてくれます。
ExcelをはじめとしたMicrosoft製品との連携はもちろん、さまざまなデータベースと接続が可能です。Microsoft製品を扱える方ならわかりやすい操作性で、BIツール初心者にも扱いやすくなっています。
注目したいのが、Microsoft 365を使用していれば無料で扱えること。BIツールのテスト導入にもぴったりと言えます。
Power BIの構成
Power BIは3つのサービスで構成されています。
① Power BI Desktop
パソコン(ローカルコンピュータ)にインストールして利用するレポート作成ツールです。さまざまなデータソースをサポートしていて、Excel、CSVはもちろん、SQL Server、URLアクセス可能なオープンデータなども取り込むことができます。
取り込んだデータは不要な部分を削除するなど加工したり、簡単な操作でグラフを作成したりすることができ、レポートを手早くまとめることが可能です。
② Power BI サービス
Power BI サービスはWebサイトにアクセスして使用するオンラインサービスです。Power BI Desktopで作成したレポートをPower BIサービスに発行することでレポートの共有やダッシュボード※の作成ができるようになります。一般的なWebブラウザであればサービスを利用することができるため、利便性も高いです。
※データを見やすく視覚化して一カ所に集めたもの。
③ Power BIモバイルアプリ
スマートフォンやタブレットといったモバイル端末でPower BIのレポートを確認することができるツールです。各モバイル端末の画面サイズに自動調整されるので、外出先でも手軽にレポートを確認することができます。Windows、iOS、およびAndroid用が用意されています。
Power BIの学習方法
Power BIはMicrosoftから学習コンテンツが複数用意されていて、自主学習することもできます。
●Power BIラーニングパス
BIツールの必要性からData Analysis Expressions (DAX)の使用方法まで、初心者はもちろん中級者も無料で学べる学習コンテンツが揃っています。ただし、英語から日本語訳になっており、ところどころ意味がわかりづらい部分があります。
●チュートリアル
サンプルデータの配布とともに、そのデータに合わせたチュートリアルが用意されています。解説通りに設定していけば、大枠の操作方法を理解することができます。
●レポートとダッシュボードの作成
チュートリアルを終えて、さらに自身の業務にとって必要な部分を学習する際には、こちらをチェックすると良いでしょう。ヒントや関連するトレーニングコンテンツも記載されています。
この他、Power BIは参考書籍も多く販売されているので、そちらで学習しても良いでしょう。
しかし、Power BIは「誰でも使える」ことが最大のメリットです。個人学習で終わらせず、全社的に最低限使用できるように研修を実施することで、より高い導入効果が得られるでしょう。
Power BIのライセンスと料金
Power BIには4種類のライセンスと、それに応じた料金体系となっています。
Power BIライセンス | 内容 |
---|---|
Power BI 無料版 | メールアドレスの登録だけで使用できる。基本的なレポートは作成可能。他者とのデータ共有は不可 |
Power BI Pro | 1ユーザーから利用可能。登録には学校・組織のメールアドレスが必要。他者とのデータ共有や編集ができる。 |
Power BI Premium | ストレージ容量が大きく、Power BIの全機能が使用可能※。本格的なデータ活用を行う組織向け。ユーザー数、もしくはストレージ容量で料金体系が異なる。 ※アクセス制御やテキスト分析、自動機械学習に対応したAI(人工知能)機能はPremiumのみ使用可。 |
この他、Power BIはMicrosoftのサブスクリプションサービス「Microsoft 365」に含まれています。そのため、Microsoft 365を利用しているユーザーについては、追加料金がかかりません。
Power BI単体で使用する際、料金は以下になります。
Power BI料金表 | 料金 |
---|---|
Power BI 無料版 | ユーザー単位:¥1,250(月) |
Power BI Premium | ユーザーごと:¥2,500(ユーザーあたりの月額) |
Power BI Premium | 容量単位:¥624,375(月) ※全て2023年8月時点の内容 |
まとめ
Power BIは無料で使用できるBIツールとして、データ活用の一歩目には最適なツールです。無料であるだけでなく、本格導入する場合にも十分な機能と容量、セキュリティが用意されています。
Microsoft 365はExcel、Word、PowerPointといった業務に欠かせない機能も備えているので、最初からMicrosoft 365を組織的に運用するのもいいでしょう。Microsoft 365はPower BIの他にもコミュニケーションツール「Teams」やメール機能「Outlook」、ノーコードでアプリを作成できる「Power Apps」、RPA「Power Automate」など業務効率をアップさせるアプリが40種類以上もあります。もちろん、Power BIとそれらアプリを組み合わせることも可能です。
個人で学習することもできますが、組織的に運用するのであれば、導入目的や導入方法など、ITツール導入や活用に詳しい協力会社に相談すると効率的に進めることができます。
ロボフィスでは、Power BIをはじめMicrosoft 365のアプリや、業務自動化ツールであるRPAなどさまざまなITツールを用いて、お客様の課題にあわせた業務改善案をご提案しています。
「どうやってデータを活用したらいいかわからない」「運用を続けられるか不安」といったご相談にも応じていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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