最近はDXという単語を目にしない日はありませんが、DXとは何かを説明できるビジネスマンはさほど多くはありません。中には「DXはITツールで業務効率化するってことだ」と考えられている方も…。
逆に言えば、DXと業務効率化についてきちんと説明できる基礎知識があれば、ITに詳しい人材として周囲からの評価がアップするかもしれません。
本稿では、DXと業務効率化、それぞれの解説をした上で、違いや関係性について説明します。「DXのことがよくわからない」「DXと業務効率化について知りたい」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
参考:初心と学ぶ、DXの進め方:第1回「DX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か?」
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DXの本質とは?
DXとは「デジタルトランスフォーメーション」<Digital Transformation>の略称です。直訳すると「デジタルによる変革」ですが、経済産業省は以下のように定義しています。
「企業がビジネスの激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会ニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
経済産業省「DX推進ガイドライン」より
わかりやすく言うと、「データ(IT)を活用することで新しい価値を生み出すこと」と言えます。
身近な例としては、モバイル決済が挙げられます。QRコードやスマートフォンを介して支払いができるようになったことで、「財布を持ち歩かない」というライフスタイルを可能にしました。利用者は現金がなくても買い物ができるため、防犯上のメリットや、荷物を減らして身軽に行動できる、といったメリットを得ています。また、販売店側も現金の取り扱いを減らすことで防犯メリットが得られますし、顧客情報をデータとして蓄積できるため、マーケティングや商品開発に生かすことで、より顧客のニーズにマッチした展開が可能になります。
ここで重要なのは、「新しい技術」=「DX」ではないということです。
確かに、モバイル決済は新しい技術です。しかしDXの本質は、この新しい技術を使って変革を起こすことです。モバイル決済では、利用者に「財布を持ち歩かない」というライフスタイルを提供することになり、販売店側は現金を扱わないことで商習慣が変化しました。人々の行動が変化した「変革」と言っていい事例でしょう。
近年「DX化」や「短期間でDXを実現」というキャッチコピーを見かけることもありますが、これはDX=ITという誤った解釈をしているものです。
モバイル決済のように人々のライフスタイルや商習慣を変化させるような変革は、簡単に、短期間で、特定のツールを用いたからといって実現できるものではありません。
ただし、DXを目指す中で新しい技術やITツールを活用する場面は多くあります。その一つが業務効率化です。
業務効率化とは
業務効率化とは、業務における「ムリ・ムダ・ムラ」を排除して、効率的に業務を遂行できるようにするための取り組みのことです。業務内容や工程に「ムリ・ムダ・ムラ」がないかを確認して、それらを省くことで業務効率がアップし、生産性が高まります。
この「ムリ・ムダ・ムラ」を省くのに、ITツールが用いられることが多くあります。
たとえば、顧客のメールからExcelデータへ転記するような定型業務は、必要な業務ではあるもののあまり生産性の高い作業ではありません。
こうした作業をマクロ※1やRPA※2で自動化してみましょう。これまで手作業していた業務をITツールに任せられれば、その時間を他の業務に充てることで生産性を高めることができます。
※1 Excel内の作業を記録し、自動化するExcelの一機能
※2 ロボットを活用した業務の自動化のこと。ロボットを作成できるソフトウェアツールのことを指す
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また、近年注目の生成AIを活用することでも業務効率化が図れます。
例えば、メールの文章を書くのが苦手で、メールの送付を後回しにしてプロジェクトの進行が遅れがちになる…という方は意外と多いものです。こういった方がChatGPTを使ってメール文章を素早く書けるようになれば、プロジェクトは予定通りに進み、ご本人も苦手な業務に割く時間を短縮できます。
このように、新しい技術やITツールを活用することで、業務効率は高まっていきます。
業務効率が上がれば、それまで作業に使っていた時間を新しい企画やアイデア作り、市場分析に回せるでしょう。この結果、新しいアイデアが改革・変革につながることで、初めてDXの実現と言えるのです。
DXの必要性
では、なぜ企業がDXを進めることが重要なのでしょうか?
それは、インターネットの世界的な普及により、市場が日本国内にとどまらず、海外にも広がったからです。海外にいる競合とも競いながら自社の利益を出すためには、大きな変革が必要と言われています。
「自分の会社はそんなグローバルな展開はしていないから…」とお考えの方もいるでしょう。しかし、海外からより廉価な商品や上質なサービスが入ってきたとしたら、顧客はそちらに流れてしまうかもしれません。たとえ自社が海外マーケットを視野に入れておらずとも、世界中にいる競合はそうではない、ということです。
本当に国内にしか需要がなく、海外から同じ商品やサービスは必要とされることがない、という商材を取り扱っているのであれば、たしかにDXは必要ないかもしれません。しかし、そういった商材や業種というのは大変稀だと言えます。
同時に、日本は少子高齢社会です。現在も働き手不足と言われており、人材を確保するのも簡単ではありません。また、今後働き手は少なくなる一方のため、ますます労働力が不足していきます。そのため、現時点で行っている業務も効率化を図らなければ、将来的には通常の業務もうまく回らなくなってしまう可能性が高いのです。
そうした状況はどの業界や職種でも同じであるため、逆にとらえて「自社の業務効率化のノウハウを商品化できれば、新たなサービスの創出につながるかもしれない」と取り組む経営者も少なくありません。
DXを進めるためのヒント・BPR
それでは、DXはどのように進めればいいのでしょうか。ここではDXを進める上での根幹となるBPRについて解説します。
BPRとは、ビジネスプロセス・リエンジニアリング<Business Process Re-engineering>の略称です。企業の組織・業務改革の手法の一つで、業務・構造・組織・戦略などあらゆることをゼロベースに戻して再構築することを指します。
DXを進めるにはこのBPRが重要であり、BPRの手法に則って考えると良いでしょう。BPRは5つのステップで進めます。
ステップ1 検討
まずはBPRで達成したい目標を定めます。同時に会社の現状を把握することで、目標と現状の差(ギャップ)を導きます。これが解決すべき課題となります。
ステップ2 分析
課題を設定したら、いかにしてその課題を解決するかを分析していきます。ここでは重複している工程はないか、利益と関わりのない作業を行っていないか、など対象業務の業務プロセスを見える化することが重要です。
ステップ3 再設計
現場のヒアリングを行い、ムダな作業をしていないかを調査します。ただアンケートを取るだけだと、担当者の問題意識の有無でムダが見つけられなくなってしまうため、しっかりと担当者とヒアリングをする必要があります。改善すべき業務全体を俯瞰して見た上で、必要な業務かどうかを判断する第三者の目線が必要です。
業務効率化の具体的な実行段階と言えるでしょう。
ステップ4 実施
改善したプロセスで実際にテストし、うまく運用できるかどうかを確認します。社内の協力が不可欠となるので、経営者やマネージャー層から必要なプロジェクトであることを周知・徹底することも重要です。
ステップ5 モニタリング・評価
本稼働後も定期的にプロセスを見直し、改善し続けます。
まとめ
DXとは、「データ(IT)を活用することで新しい価値を生み出すこと」であり、進行する上でBPRの考え方が有用で、BPRを進める中で業務効率化は不可避の工程と言えます。
このように整理をしておくと、日々のニュースでの理解度や会議中での発言にも変化が見えるでしょう。
しかし、実際にDXを進めるとなると、「なにから始めていいかわからない」という方が多いことは先述した通りです。
そこで検討したいのが、協力会社の選定です。
自社にシステムエンジニアやデータサイエンティストといったDXの専門家を抱えているのは大企業くらいで、多くの企業ではそうした専門家が社内にいないことがほとんどです。DXは必ずしも自社だけで進めなくてはならないものではありません。ゆくゆくは内製化も必要ですが、プロジェクトの初期段階で課題を見つけたり、改善点を提案したりするのは従業員から行うのはなかなか難しく、プロの知見を借りるのが効果的です。
ロボフィスではエンジニアとしても経験を積んだDXコンサルタントが、クライアント企業のお悩みに寄り添い、現場で実行可能なDX・業務改善をご提案します。全国の事業所から直接担当者がうかがい、業務ヒアリングからお見積りまでは無料で対応しますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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