仕事のムリ・ムラ・ムダを見つけるには、業務の「見える化」が欠かせません。しかし、実践できている企業は多くないのが実態です。
そもそも、業務の「見える化」とはどういったことを指すのでしょうか? 意味や進め方などを整理しましたので、さらなる業務効率化をお考えの方はぜひ最後までご覧ください。
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業務の「見える化」とは
業務の「見える化」とは、企業における業務の現状・進捗・実績等を常に見えるようにすることです。業務上の課題に対して、現場レベルで能動的に対応できる環境を作り、同時にインシデント・アクシデントを未然に防止できる環境を整えるための業務・組織体制改善に向けた継続的な取り組みのことを指します。
業務の「見える化」には企業としての状況を把握するマクロ的視点と、個人の具体的な業務を把握するミクロ的視点の2つに分けて考えます。
マクロ的視点
リアルタイムで企業や部署といった組織全体を把握する。コスト削減、労働時間削減、適正な人事評価につながることが期待できる
ミクロ的視点
業務を誰でもできる状態にする。個人で取り組めることから実施企業が多く、作業時間の削減、作業人数の適正化が期待できる
マクロ的視点 | ミクロ的視点 | |
---|---|---|
考え方 | リアルタイムで全体を把握 | 業務を誰にでもできるようにする |
対象 | 企業・部署 | 個人の業務 |
実施している企業 | 多い | 少ない |
始めやすさ | 難しい | 容易 |
ゴール | コスト削減 労働時間の削減 適正な人事評価 | 作業時間削減 作業人数の適正化 |
業務の「見える化」はいずれの視点も重要ですが、どちらの視点で考えているのかを整理することが大切です。
業務の「見える化」のメリット
業務の「見える化」を行うメリットは大きく4つあります。
課題の早期発見・解決が可能
業務の「見える化」を行う時、業務を洗い出すところから始めます。その洗い出しの際に課題を発見できるのがメリットです。課題の原因究明や対策、改善策を早急に打ち出すことができます。
属人化の解消
属人化とは、特定の業務が担当者しか理解・作業進行ができない状態のことです。「見える化」することにより担当者の暗黙知やイレギュラー対応の方法が明確になり、マニュアルを作成することが可能になります。また、業務内容を共有しやすくなるので、教育フローが確立でき、誰でも作業できるようになります。
ムダな作業の見極めが可能
「見える化」することで、作業の流れを把握できるようになります。作業の流れを視覚化・言語化することで全体を理解しやすくなり、ムダな作業や、時間がかかりすぎている工程などがわかるようになります。課題発見がしやすくなるため、課題解決に向けて行動することで業務効率化が期待できます。また、必要人数も正確に把握できるようになることから、人材配置の参考にもなります。
組織の活性化を図れる
業務を「見える化」することで、目標を立てやすくなります。チームであれば同じ目標に向かうことになるため、組織の活性化や生産性の向上につながります。
また、個人としても業務の「見える化」は業務フローや作業時間が明確になるため、適正な評価がされやすく、組織との信頼関係を育むことにもつながります。
「見える化」のメリット
- 業務の進捗や課題の把握・課題解決
- ムダやボトルネックの発見
- 業務フローの確立
- 情報・意識の共有によるコミュニケーションの円滑化
業務の「見える化」の考え方
業務の「見える可」には、いくつか手段(考え方)があります。ここでは代表的なものを4つご紹介しましょう。
① 業務一覧
業務一覧は、手持ちの業務を可視化させるのを目的とした表のことです。全体の把握がしやすくなるため、課題や改善点を見つけやすくなります。
あくまで可視化を目的としているため、一覧化することで改善されるわけではありません。
一覧表は大・中・小項目など3~4段階程度にしていることが多いです(図参照)。
作成のコツ
業務一覧には「トップダウン方式」と「ボトムアップ方式」があります。
トップダウン方式
対象業務を構造的に捉え、上位レベルから段階的に整理する方法のことです。基本的には組織図を基に作成します。ボトムアップ方式を組み合わせることでより効果的になります。
成果物:業務体系表
ボトムアップ方式
作業担当者が実際に行っている作業を列挙し、その中から共通するものをグループ化していく手法です。
成果物:業務棚卸表
② フローチャート図
フローチャート図とは、業務やシステムの工程を記号(長方形・菱形、矢印等)で表した図のことです。作業内容の整理や流れの正確な把握に有効です。
作成のコツ
<ルール>
①通常時は左から右へ、上から下へ流れるように要素を配置する
②逆行や条件分岐で繰り返しが発生する際には線が重ならないようにする
③図記号と図記号の間は一定の間隔をあける
④各処理に適した記号を使う
⑤条件分岐は記号の外に判定条件を記載する
⑥複数人の作業を一つのフローチャートで示す際には線で区切り、左から右へ表示されるように作成する
<ポイント>
・担当者が異なる場合はフロー図を分ける
・媒体が同じ場合はまとめる
・媒体は同じだが条件分岐がある場合は分ける
・視認性を上げるため、業務を分解する際に粒度が細かくなり過ぎないようにする
③ 進捗管理表(ガントチャート)
ガントチャートとは、タスクごとにいつ・誰が・いつまでに行うのか状況を逐次反映させた表のことです。メンバー全員が状況把握をしやすいため遅延・トラブルへ早めに対応できるメリットがあります。ほかにも、特定の人に業務が偏らないように均一化できるため効率的に作業を進められる利点もあります。
作成する際は、開始日が早いタスクを上部に配置した方が見やすくなります。また、細分化したタスクがバラバラにならないよう注意することが必要です。
④ スキルマップ
スキルマップとは、誰がどのようなスキルを持っているのかを可視化した表のことです。
適切な人材配置と必要なスキルを持った社員の割合を把握する事が可能になります。役職・部署ごとの必須スキルが明確になり、社員に対して短期間で効率的な研修を行えるメリットがあります。
作成のコツ
- 評価基準を決める:できる/できない等の2段階評価ではなく、3~5段階の習熟度別に評価する。また「単独でできるか」「指導を受けながらできる」等の状態も記載すると、人的コストも把握しやすくなります。
- 正確なデータにする:完成したスキルマップを関係者に確認してもらい、認識の齟齬をなくす。
(図 要調整)
可視化と「見える化」の違い
「見える化」の他に「可視化」という言葉が使われているケースもあります。2つの意味の違いを正確に把握することで、取り組みも整理されていきます。
可視化
業務の洗い出しをして内容を確認できるようにすること。業務フロー図の作成などを行い、見えづらいデータを見える状態にします。
見える化
洗い出したデータを強制的に共有し、組織内の共通認識にすること。必要な時に必ず把握できるようにしている状態を指します。タスク管理表のオンライン化などは「見える化」にあたります。
可視化 | 見える化 | |
---|---|---|
概要 | 把握しづらい情報を見えるようにする | 可視化されたデータに対して関係者同士で共有し、改着行動を促す |
データを把握するタイミング | 自発的に把握 | 必要な時にいつでも把握 |
実用例 | 業務フロー図の作成 | タスク管理表のオンライン化 |
まとめ
「業務の見える化」の大きな流れをつかんだ上で取り組めば、より効果的に業務改善を行えるようになるでしょう。
また、改善した後も定期的に見直すことが重要です。どんな業務でも、社会や市場が変化すれば変わらざるを得ません。見える化により一度改善行動をした後、一定期間で再度見える化による洗い出しを行う(PDCAサイクルを回す)ことで、常により効率的な業務改善を行うことができるでしょう。
今回ご紹介した内容について、「わかってはいるけれど取り組む時間がない」「人的リソースが足らない」という企業も少なくありません。そんな時は、外部の協力会社に依頼するのも良いでしょう。
ノウハウを持った協力会社に依頼することでスムーズに業務改善につながりますし、業務内容や業務フローについては社員から指摘し辛いケースもあるため、そういった面でも頼りになります。
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