受講生が「広めたい」と声をそろえる
効果が体感できるDXワークショップの実施を支援
事例:大阪府 DXワークショップ研修の実施
ロボフィスでは2024年度に大阪府さまに対してDXワークショップ研修の実施を支援しました。この取り組みは、少子高齢化を背景に業務効率化を進めている大阪府庁さまにおいて、「自ら考えられる」人材をさらに増やすことを目的としたものです。
ご担当である大阪府 財務部 行政DX企画課の濱口さまと下地さまに、研修の実施に至るまでのロボフィスの支援についてお話を伺いました。

「同じ方向を向いて
取り組んで
いただけるのが
非常に心強かった」

大阪府 財務部 行政DX企画課
監理グループ
下地 遼 さま

大阪府 財務部 行政DX企画課
監理グループ 参事
濱口 眞也 さま
──ロボフィスにDXワークショップ研修を委託された背景をお聞かせください。
濱口:全国的にデジタル人材が不足していると言われているのは周知のとおりです。元々、大阪府の行政職では情報分野での採用があり、以前からデジタル人材の重要性に着目し、強化の必要性も痛感していました。
下地:現代において、デジタルツールの活用は日常業務においても避けて通れなくなっています。また、人口減少とともに職員数も少なくなっていくとの予測がある中で、少人数であっても十全な府民サービスを提供できるよう、業務効率化と業務のクオリティアップを実現できる仕組みを考えていく必要が急務であると考えています。そこで、全職員が自律的かつ継続的にDXを推進できる人材となる必要があると、令和四年度からデジタルマインドの醸成やデジタルによる課題解決が可能な人材育成に向けた取り組みを行ってきた次第です。
──今回、ロボフィスからはeラーニング教材の制作および、その実践編にあたるDXワークショップ研修を提供させていただきました。業務委託される際に、どのようなご要望をされましたか?
下地:委託の背景でもお話しさせていただきましたが、自ら業務を考えて改善していける、いわゆるBPR※ができる方には、もうご自身で業務改善をどんどん進めていかれている方もいるんです。ですが、一方でITツールの利用で止まってしまって、それらを使って「どうやって業務を効率化できるだろう」というところまでたどり着けない方もいらっしゃるんですね。今回の研修では、BPRを中心としたワークショップと、事前学習のためのeラーニングコンテンツの作成をお願いしました。
一般論として知っておくべき知識とともに、大阪府や大阪府システム担当者の状況、組織にフィットした内容となるよう、多岐にわたる要望を出したのですが、十分なディスカッションを重ねつつ、最短距離で実施できたと感じています。
※ビジネス・プロセス・リエンジニアリング。業務プロセスを抜本的に見直し、効率化や生産性向上を図る手法。
濱口:BPRにITツールの要素をとり入れることで、より大きな効果を得られると考えており、研修でもITツールを取り上げたいと考えていました。しかし、府庁で導入していないツールを取り上げても、受講した職員に対して即効性が期待できないため、どのツールを研修内でどのように紹介していただくかなど、細かい点まで要望させていただきました。結構無茶を言ったんじゃないかと思います(笑)。
下地:ですがほとんど要望を受け入れてくださったんですよ! 本当にありがたかったですね。それに、ただ受け入れるだけでなく、より良くなるような提案も積極的にしてくださいました。実は、要望はたくさんありましたが、事細かに「こうしてほしい」とこちらから具体的なことを言ったことはほとんどないんですよ。その前に、あるいはこちらから良い案が出ない時でも、さまざまな提案を自主的にしてくださいました。
濱口:ロボフィスさんの窓口役の方が事前ヒアリングから実にていねいに対応してくださって、こちらから具体的なことをお話しするより先にいろいろとご提案くださったんです。初回打合せの時から前向きにお話ししてくださって、その印象が変わらないままプロジェクトを終えられたという印象です。
下地:実は私は今回初めて研修の実行役になったのですが、一部スケジュール進行がうまくいかないことがありました。お返事しなければいけないところを先延ばしにしていたり…そういったケースでも、やんわりとリマインドをくださったり、スケジュールをうまく立て直してくださったりして、本当に頼りになると感じていましたね。

──ロボフィスの研修サービスは、事前に業務ヒアリングをした上で課題解決に向けたご提案をさせていただいています。具体的にどのようなヒアリング、そしてご提案をさせていただいたのでしょうか?
下地:まず、研修の目的を明確にするために、受講生の方に理解度テストを実施していただきました。受講生それぞれがどのような業務に課題を感じているかを調査して、私たちにとっても改めて課題が浮き彫りになりました。
濱口:理解度チェックと共に実施したアンケート結果から公約数的な業務を取り上げて、実際に皆さんが困っていることをワークショップ研修で取り上げ、「自分たちでも改善できるんだ!」という成功体験を重ねていただく場にしようという話になりました。
下地:また、ワークショップについては「議論が理想だけ記載した夢物語で終わらないこと」を要望として出させていただきました。実は前年もグループワークは実施していたのですが、自由な発想で語ることは非常に大切ではあるものの、実行するには困難なアイデアもあり…現実的な企画書が作れるワークショップになるようお願いしました。
ワークショップ当日に「ITツールの紹介はこれも入れてほしい」など、急な変更にも柔軟に対応していただけましたね。
濱口:ワークショップは全6回だったのですが、3回目の時に少し変更したい点が出てきまして…。お伝えしたところ、次回以降しっかり反映してくださいました。「より良い研修にしていこう!」という我々と同じ方向を向いてくださっているんだな、と感じられてとても心強かったです。
──実際に研修後、受講生の方の行動に変化はありましたか?
下地:今回の研修は希望者制としたのですが、受講された方が「結構良かった」と言って研修内容を部局で広めてくださっているんですよ。この動きには驚きました。自分たちから後日「どうでしたか?」とアンケートなどとって調査しなければいけないな、と思っていたのですが、それより先に受講生の皆さんが行動してくださいました。
濱口:なかには部局のキーパーソンとなる方もいらっしゃり、「こんな研修をもっとやっていかないと!」と言って、部局として研修ができないかと相談を受けているくらいです。
下地:具体的に研修内容が活用できたという声も聞いています。とあるシステムが一定期間使用できなくなる予定があり、関連業務を整理してシステムの担っている業務を各部署で分担することになったのですが、その際に業務フロー図を書くことがあったとか。業務フロー図は視覚的に見て業務の流れが把握でき、「ここが問題やから、こうしたら効率的にできますわ」と課題の共有に役立ったそうです。まさに今回の研修でやったことで「業務中にうまく活用できました」というお声をいただきました。わざわざ研修担当にそんな声をかけてくださったので、よほど効果を感じていらっしゃるのだと思います。
濱口:今後もBPRに関するワークショップは継続していきたいと思いましたね。座学の面、eラーニングなどは、実はこれまでもかなり豊富な学習コンテンツを用意してきていて、皆さん受講してくださっているんです。それだけに少し食傷気味。今後は実際に手を動かして、「自分で学び、実践していく」ための礎となる体験が必要ではないかと考えています。
──DXワークショップ研修の実施を通して、ロボフィスの印象を改めてお聞かせください。
濱口:窓口になっていただいた方だけでなく、他のメンバーの方も自律的に動かれているのが印象的でした。打ち合わせで黙っている人がひとりもいらっしゃらないんですよね。
打ち合わせだけでなく、ワークショップでも受講生グループを見て回って、適宜適切にアドバイスしてくださっていました。
下地:委託では「窓口に立たれた方は信頼できる方だけれど、現場に来られた方は…」といったことが時折あるのですが、ロボフィスさんではそれがなかったですね。
濱口:どの方も、仕事に対する熱量がすごかったです。提案の素早さ、柔軟な対応から積極性を感じました。同じ方向を向いて走ってくださっていると、これほど心強いのかと実感しましたね。
──本日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました。
(取材/2025年2月10日)