近年、首都圏のみならず地方からもRPA導入、DXについてのお問い合わせが増えています。
なかでも四国からのお問い合わせは多く、「デジタライゼーションを進めなければならないとわかっているが、どこから手を付けていいかわからない」「DXに着手したものの成果がでない」「近くに相談できる専門家がいない」とお悩みの方が多くいらっしゃる印象です。
そこで、今回は四国4県のデジタライゼーショ(デジタル化)、DX推進の状況をまとめました。
自身の県と他県の現状を比較するなどして、ぜひ参考にしてください。
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地方企業の経営課題を解決する一手となるデジタライゼーション
地方企業の大きな課題は、人材の確保です。
総務省統計局の都道府県別人口増減率は、全国的に見ても沖縄県以外はマイナスであり、さらに都道府県別転入超過数は東京圏以外もマイナス。
出生率が減少し、かつ、その後も人口が流出してしまい、働き手が少なくなっている事実が浮き彫りになっていると言えます。
このような状況下で、地方企業は首都圏以上の魅力を打ち出して人材を集めなければなりません。人手不足、後継者不足はすぐにも対応したい大きな課題と言えます。
表1.都道府県別人口増減率
表2.都道府県別転入超過数(2020年、2021年)
そんな地方企業における人材不足解消の一手として注目されているのが、DX<Digital Transformation|デジタルトランスフォーメーション>です。
DXとは、以下のように説明されます。
「企業がビジネスの激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会ニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
経済産業省「DX推進ガイドライン」より
簡単に言うと、「データ(IT)を活用することで新しい価値を生み出すこと」と言えます。
DXを進めると、どのように仕事が変わるのか。
例えば、企業間取引におけるデジタル化が挙げられます。これまでFAXでのやり取りだったのを、メールやウェブページ上で取引することもデジタル化への一歩です。卸売業界であればEDIの導入がこれにあたるでしょう。このほか、自社通販サイトから顧客が直接注文できる仕組みもデジタル化にあたります。
デジタル化を進めると、手続きの工程が簡素化できたり、売上などの集計が楽になったり、さらにはデジタル化によって購買傾向の分析も容易になります。
コロナ禍により必要に迫られたリモートワークの設備も、DXへの第一歩です。取引先との商談や出張などの費用が削減でき、移動時間もカットできて、その分をほかの業務に充てることが可能になります。
こうしたデータ分析や新しい働き方を通して新たな価値ある商品・サービスを生み出すことがDXの本来の目的です。
四国地方の中小企業におけるデジタライゼーションの今
地方企業の経営者もDX推進を意識的に進めています。全国の中小企業において、四国4県は「地域別のIT導入割合」で10地域中7位(商工中金「中小企業のIT導入・活用状況に関する調査[2021年1月調査]」より)となっており、なかなかDXの入口であるデジタライゼーションが進んでいない状況が見て取れます。
そんな中でも、各県は県内の企業のデジタライゼーション・DXを進めるべく、数々の方策を打ち出しています。その一部をご紹介します。
徳島県:「デジタルとくしま推進プラン」を推進中
「県民誰もがICT※の利便性を享受できる徳島」の実現を目指して、徳島県では2004年3月に「e-とくしま推進プラン」を策定。その後10年間で官民協働により地域情報化を積極的に推進しました。
※Information and Communication Technology。通信を使ってデジタル化された情報をやりとりする技術のこと
現在はさらに進んで「デジタルとくしま推進プラン」を進めている最中です。行政手続きのオンライン化推進、AI・RPA※等の全庁展開による業務改革の加速など、行政改革を進めています。
※Robotic Process Automation。ロボットによる処理の自動化のこと。詳細はこちら。
民間企業に対しては、ローカル5Gの全県展開・社会実装を進めるなど、デジタル化が進む環境を整えていっています。
そうした施策と同時にサテライトオフィス誘致を進めており、18 市町村85 社が同県に進出しています(2022年1 月末時点)。
なかでも徳島県神山町は2005年9月より、町内全域に光ファイバーを敷設。大手企業のサテライトオフィスを誘致することに成功しています。閉鎖された元縫製工場を改修したコワーキングスペース「神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス」は地方創生のきっかけになる取り組みとして度々メディアでも紹介されています。
香川県:ひとが主体のデジタル社会を目指して「かがわデジタル化推進戦略」
香川県は2021年4月にデジタル推進専門部署を立ち上げ、「かがわデジタル化推進戦略」を打ち出しました。
その中の大きな取り組みとして「かがわDX Lab」があります。これは県内外の民間事業者と連携しながら行政問題や地域の課題を解決していく場として計画され、2022年4月に官民共創コミュニティとして正式発足されました。2023年3月には、Lab参加者のイノベーションスペースやサテライトオフィスなども兼ね備える拠点施設が完成予定です。
現在進行中なのは、スマート農業。農業者の高齢化や労働力不足等に対応し、農産物の収量増大や品質向上を図るため、ロボット技術やAI、IoT等を活用した農業技術の開発・実証や農業機械の導入支援などに取り組んでいます。
2021年度には第1回「かがわスマート農業推進大会」を開催。地域での実演会等を通して、スマート農業への理解と普及を図っています。施設園芸等においては、同県が開発した「さぬきファーマーズステーション」(環境・作業データ等をWebで閲覧・共有できるシステム)の導入を推進していく予定です。
愛媛県:デジタルでつなぎ、切り開く。「愛媛県・市町DX協働宣言」
地域課題解決に向け、県内すべての自治体と「愛媛県・市町DX協働宣言」について共同署名を結んでいます。この宣言のもと、県内全自治体にDX推進担当窓口を設置。デジタルプラットフォームを活用して地域課題について意見交換を行い、スピーディーに施策展開を行っていく方針です。
民間企業支援としては、5G導入に積極的で、屋外ローカル5G基地局とも連動して屋内外での実証環境を進めています。
具体的には、基幹産業である農林水産業をスマート化の第一歩として家畜防疫システムの構築に5Gを活用。また、同県の大きな魅力であるしまなみ海道沿いの絶景ポイントで自動撮影した映像をローカル5Gにより伝送し、オリジナルロードムービーを制作できるアプリを公開(https://www.shimanami-road-movie.com/)。県の魅力を広く発信しています。
同時にシェアオフィスやコワーキングスペースを用意し、企業のサテライトオフィスやワーケーションの誘致を積極的に行い、来県者および関係人口の増加を目指しています。
高知県:社会課題解決に向けた「高知県デジタル化推進計画」
全国に15年先行して人口自然減の状態に陥り、少子高齢化や過疎化が進む高知県では、「各産業分野におけるデジタル技術の加速」を重点ポイントの一つとして掲げています。
2016 年度には産学官の協働組織である「高知県 IoT 推進ラボ研究会」を創設。デジタル技術を活用して県内のあらゆる分野の課題を解決する製品などの開発を推進しています。
施設園芸分野では、ハウス内の温度や湿度、炭酸ガス濃度などを作物の最適な環境に維持する 「環境制御技術」に AI や IoT などのデジタル技術を融合させる「Next 次世代型こうち施設園芸システム」の開発を進めています。
この取り組みの具体例として、先進的な施設園芸が行われているオランダからビニルハウス内の環境制御技術(温度、湿度、炭酸ガス濃度)を学ぶことで、従来のビニルハウスによる生産方針と比較して収量を約30%向上することを実現。この一連の取り組みは2020年度公益社団法人 企業情報化協会 IT賞のなかでも最優秀賞(社会課題解決領域)を受賞しています。
デジタライゼーションに欠かせないIT人材育成と協力会社の選定
各県、さまざまなデジタライゼーション・DXの施策を打ち出し、順調に成果を上げています。
一方で、なかなか首都圏並みの導入率には届いていません。その理由は、IT人材の不足です。
先述した「四国地区 DX 推進に関する企業の意識調査」でも、「対応できる人材がいない」(48.0%)や「必要なスキルやノウハウがない」(45.7%)など、半数弱の企業で人材やスキル・ノウハウの不足に関する課題が挙げられています(帝国データバンク 2022年「四国地区 DX 推進に関する企業の意識調査」より)。
表3.DXに取り組む上での課題
人口の自然減および人口流出により、県内の人口総数が減っているなかで、IT人材を確保することの難しさがうかがえます。
同時に、外部委託会社も豊富とは言えません。2015年時点での四国地域内のソフトウェア事業数は423事務所、従業者数は6,062 人となっています(四国経済産業局総務企画部調査課「四国地域における特定サービス産業の概要~平成27年特定サービス産業実態調査報告書(経済産業省)」より)
例えば、業務効率化を目指してRPAを導入したとします。
作業工程を変更するため、RPAにも手を加えなければならないけれど、担当者がすぐに取り掛かれない状況。
そこで外部企業に相談するものの、「うちはWinActorのみの対応」「kintonとの連携はやったことがない」「UiPath担当者なら県外からの派遣になる」と言われてしまう。
なんとか対応してもらうものの、県外から現地に来るのに数日かかり、業務が大幅に滞ってしまった…。
実際にこのようなケースに遭遇した方も多いのではないでしょうか? せっかく業務をデジタル化しても、これではかえって非効率です。
デジタルツールを導入した後は、メンテナンスができる人材・協力会社をいかに確保するかが重要になります。
デジタルツールやシステムを継続的に活用するには、内製化、ひいては人材育成が必要不可欠です。一方で、すぐに効果がでない中長期投資の分野でもあります。その際は、近隣に本社、もしくは支社があり、随時対応してくれるサポート企業と協力関係を結ぶことが解決への近道です。
例えばRPAソフトの「UiPath」を使用するのであれば、パートナー企業一覧があります。地域別に検索ができるので、ここから近隣の企業を探すのも一手でしょう。
同じくRPAソフト「WinActor」でも特約店一覧があります。特約店以外にも、導入や研修、RPA担当者育成サポートを手がける企業もありますので、「四国 WinActor」などで検索するのもいいでしょう。
自社が抱えているデジタル化、DX推進の課題について、真摯に対応してくれる協力会社は必ずあります。ぜひ探してみてください。
ロボフィスでは四国・香川県に支店があり、「WinActor」「UiPath」の導入実績も豊富です。現地RPAエンジニアが直接御社に伺い、現場担当者にヒアリングして最適な業務効率化をご提案します。
まとめ
四国4県、それぞれDX・デジタル化へ高い意欲から先進的な取り組みがみられました。地方ならではの課題、そして地場産業を活かすためのDXは、他の地方企業においても参考になる点も多いでしょう。
DX・デジタル化への意欲を高める四国4県ですが、その推進にはIT人材の確保と育成はなくてはならないものです。業務・育成の観点からも、身近に相談できる協力企業を見つけることは重要と言えます。
利活用において分からない点、うまくいかないこと、デジタル化した際の現場の反応…課題は企業それぞれですので、信頼できる協力企業をぜひ見つけてください。
ロボフィスでは、クライアントの課題にあわせた研修サポートも行っています。対面形式での実習はもとより、オンラインでのサポートも可能です。ぜひ一度お問い合わせください。
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