青森、岩手、宮城、山形、秋田、福島の6つの県から成る東北地方。平野と川の流域では稲作が盛んで、日本の米の全収穫量の4分の1は東北地方で生産されています。りんご、さくらんぼもブランド品種があり、漁業も盛んで、青森県の八戸港は豊富な漁獲量を誇っています。温泉も多く、冬はほとんどが豪雪地帯となりスキーなどウィンタースポーツを楽しめる場所です。
観光地としては魅力的な東北地方ですが、少子高齢化の日本の中でも、人口減少率の高い地域となっています。人口減の影響で農家数も減少が続いており、2000年に自給的農家を含めた総農家数は約51万戸でしたが、2020年には約27万戸まで減少。また農業就業者の高齢化も続いていて、農業を生業とする農業従事者の平均年齢は66. 7歳(2020年)となっており、今後の農業の持続性が危ぶまれています。
上記のような危機的状況に対して、現在東北地方では労働力確保のためにDX・デジタル化が積極的に進められています。そんな東北地方のDX・デジタル化の現状と、各県の事例をご紹介していきましょう。
東北地方においてDX推進を検討している企業の方々、そして地方のDX推進事例に関心がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
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東北地方におけるDX・デジタル化の現状
少子高齢化の日本の中でも、東北地方は特に人口減少率の高い地域となっています。総務省が2022年4月に発表した2021年の人口推計(10月1日時点)によると、東北6県の人口は計851万9千人で、20年に比べて9万3千人減となっています。県ごとの減少率では、秋田が前年比1.52%で全国で最も高く、青森が2番目、山形が3番目で、福島・岩手両県も含めると、減少率の高い都道府県の上位6県中5県を東北が占めています。
東北6県の21年人口推計
人口減少の中で有効な対策として期待がかかるのがデジタル化、そしてDXです。
まずはDXについて簡単に説明しましょう。
DX(デジタルトランスフォーメーション)について、経済産業省が以下のように定義しています。
「企業がビジネスの激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会ニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
経済産業省「デジタルガバナンス・コード2.0」より
簡単に言うと、DXとは「データ(IT)を活用することで新しい価値を生み出すこと」です。
先述したように東北地方はとりわけ人口減となっており、DX・デジタル化による業務効率化が急務です。しかし、状況は芳しくないようです。
東北経済産業局が 2020年11〜12⽉、管内の中堅・中⼩企業約2,000社に対して、デジタル化の状況に係るアンケート調査を実施しています(回答566社、回答率28%)。そこでは、 約5割が勤怠管理等「⼀部の業務プロセスの効率化」を図っているとしています。一方で、新事業開発は約0.1割。 取引先との受発注の⼿段も「電話」・「FAX」で約5割を占めています。
デジタル化の進捗状況
取引先との受発注の主たる手段
情報システムにかけた費⽤は、約6.5割が年100万円未満で、テレワークシステムは約8.7割が未導⼊となっています。デジタル化に係る戦略については、約5割が策定〜策定予定とのことですが、組織体制も約5割が整備〜整備予定となっており、コロナ禍の中でもデジタル化はあまり進んでいないのが現状のようです。
この一年で情報システムにかけた費用
テレワークの導入率
DX・デジタル化推進における課題は、デジタル化を進めるにあたり約7割が「⼈員」や「⼈材」の不⾜を挙げています。 また、約5割が、「現状の⼈材」の育成に取り組みたいとしていることから、「DXを進めたくても、わかる人材がいない」という背景も見えてきます。
社内のデジタル化を推進する人材に課題はあるか
社内のデジタル化を推進する人材の確保と育成についての今後の取り組み
参考:東北経済産業局「東北地域のデジタル化・DXに向けた状況と関連施策」2021年3月
このような状況下で、積極的な動きを見せているのは民間企業です。
一般社団法人DX NEXT TOHOKUは「人が減っても豊かで幸せな未来を創る。」をミッションに掲げ、セミナーや無料相談、事業再構築補助金サポートなどさまざまな形で東北のDXを推進しています。同団体は東北を拠点とする民間企業5社によって2021年に立ち上げられ、東北地方におけるDX推進を希望する企業を支えています。
また、各土地の課題を解決すべく、官民が連携してさまざまな取り組みが行われています。
そんな取り組みの一部を、県ごとにご紹介しましょう。
東北地方のDX事例
東北地方・青森県:「青森県はDXでもっとおもしろくなる」DX推進プラン進行中
青森県は2019年度から2023年度まで「安全・安心、健康」「産業・雇用」「行政経営」「基盤の整備、人財の育成・確保」の4つの基本方針を柱とし、ICT利活用の取り組みを推進してきました。この5年間の取り組みを鑑みて、新たに「青森県DX推進プラン(仮称)」を策定予定です。
想定された計画として、スマート農業・林業の実証試験、県産品のEC展開の強化、事業者等の相談窓口の設置、インフラや観光客等のデータ利活用の基盤構築、暮らし・まち分野の市町村等のデジタル実装モデル構築支援、保健所業務の効率化、行政手続きや内部業務、税務などのデジタル化を積極的に進めていく予定です。
参考:青森県企画政策部「青森県DX推進方向」2023年
青森県の中でも興味深いのは、青森市のヘルステック分野です。
青森市と株式会社フィリップス・ジャパンは、⻘森市⺠の健康寿命延伸を基本コンセプトに、「ヘルステックを核とした健康まちづくり連携協定」を締結。浪岡病院に「あおもりヘルステックセンター」を設置し、そこを 拠点としてフレイルや生活習慣病を予防するため、ヘルスケア装置を搭載した車等の移動手段で集会所などへ向かい、簡易な健康診断を行っています。診断内容は身長・体組成・運動機能の測定や、野菜摂取チェッカーを用いた推定野菜摂取量を測定。測定結果を記載した「ヘルスチェック結果シート」を渡し、それをもとに保健師による健康相談や管理栄養士による栄養相談を実施しています。
このような活動を通して市民の健康意識を高め、特定健診受診率の向上につなげ、要介護(要支援)認定率の低下につながることが期待されています。
また、主に一人暮らしの高齢者を対象とした「IoT を活用したみまもりサービス事業」も実施。非接触型の生体セン サーや電力センサー等、最新の IoT 機器による 24 時間遠隔みまもり看護を行っており、各センサーを通じてヘルステックセンターや連携する訪問看護ステーションと情報共有し、24時間365日見守り看護の体制を確保しています。
今後、平均寿命は100歳を超えると予測されている中で、ICTの活用で健康寿命を延ばす取り組みには期待がかかります。
東北地方 ・岩手県:人口減少時代にDXに活路を見出す「岩手県DX推進計画」
岩手県も少子高齢化が顕著な地域で、小中学校の統廃合や、医師不足といった課題を抱えています。また、東日本大震災津波からの再建、主要魚種の不漁などの地域課題にも取り組んでいかなければなりません。
このような課題を解決し、「豊かで活力あふれる希望郷いわて」の実現を目指して、「行政」「農業」「社会・暮らし」「DXを支える基盤整備」の4つを柱にDX推進に取り組んでいます。
参考:岩手県DX推進計画
そんな状況で、「保育園DX」に取り組んでいるのが北上市です。北上市では2022年、公立保育園6カ所と療育センター(児童発達支援施設)に、保護者とアプリでやりとりできるシステムを導入しました。出欠管理や連絡帳、おたより配信など、保育に必要な機能が多くそろっているアプリで、保護者のスマートフォンや施設のタブレット端末などにダウンロードして利用しています。
アプリの効果は、大きく分けて以下の3つです。
(1)朝の欠席連絡をアプリで完結
電話連絡が不要になったことで、保護者の早朝の負担が軽減。職員は欠席連絡を受けるために朝電話当番が不要になり、クラス担任への連絡業務もなくなった。
(2)タブレットで撮影した写真をお便りや記録用に使うことが可能に
以前は白黒コピーだった配布物が、スマホで見やすいPDFになり、添付写真もフルカラーになった
(3)園や市から保護者にクラス単位や一斉通知が行える
保護者が確認ボタンを押すことで、未確認者が特定できるようになった。そのため、緊急連絡や重要な通知もアプリで行うように
欠席連絡については、アプリ導入前は紙で登園・降園を記録していました。時間がかかることではないものの、この「ちょっとした手間」が保護者や保育園側では負担になっていたところ、このシステムの導入でスマートフォンやタブレットで完結できるように。現在では7施設全てで連絡帳やおたよりを完全にデジタル化しているそうです。
さらに、質問や相談にチャットですぐに応じられるようにしたことで、より便利な使い方を気軽に相談してもらえるようになり、保護者との信頼関係も深まりました。そうした関係性が、園の職員のモチベーションにもつながる好循環を生み出しています。
加えて、意識改革は市役所職員にも波及します。印刷物が激減したことで、ペーパーレスの意識が浸透し、ITの力で「これまで解決できなかったことができるようなるかもしれない」という期待感も醸成されていったのです。
この取り組みは「いわてデジタルトランスフォーメーション大賞2022」の大賞にも選ばれています。
今後は、市から子育てに関する連絡をする際、紙媒体をなくしていく方向性を描いているそうです。「お知らせをなくしてイベントの日付がわからない!」といった保護者のよくある困った状況がなくなる未来は、すぐそこまで来ているのかもしれません。
参考:岩手県「県内のDX事例集」
東北地方 ・宮城県:全国に広くアイデアを募り「DXみやぎ」を推進
宮城県の人口は増加傾向にありますが、実は仙台都市圏のみで、それ以外の地域は減少傾向にあります。また、少子高齢化も進んでいて、2015 年の国勢調査による宮城県の人口は233 万 3,899 人。老年人口(65 歳以上)は1990 年代以降急速に増加していて、2000 年の国勢調査時に年少人口(14 歳以下)の割合を超え、2015 年には県人口の 25%を超えています。
少子高齢化は、経済の縮小、働き手不足、後継者不足、税収の減少による市民サービスの品質低下につながる大きな課題です。そのため、宮城県では2007 年より「宮城の将来ビジョン」を策定し、県内製造業の集積促進や生涯現役で安心して暮らせる社会の実現、大規模災害による被害を最小限にする県土づくりなどさまざまな施策展開を行ってきました。
そして2021年には「新・宮城の将来ビジョン」を策定。これは2030 年度を目標年度とする 10 カ年のビジョンとして掲げています。
施策の中にはDXも含まれており、宮城県産業デジタル推進課では「ICTで暮らしを便利にする『DXみやぎ』の推進」をテーマに掲げてさまざまな取り組みを進めています。特徴的なのは、宮城県民に限らず、全国から地域課題の解決につながるアイデアを募る方針です。
2022年7月から2期にわたって開催された「みやぎDXプロジェクト」では、「防災・防犯」「教育」「子育て・医療・福祉」「社会参画」「農業・林業・水産業」「観光・経済商工」「環境・エネルギー」「社会インフラ」「自由提案」の9つのテーマを設けて、全国からDXにつながるアイデアを募集しました。さらに2期では「防災」「教育」「子育て」「身の回りの困りごと」の4テーマに絞り込み、「身の回りの困りごと」は25歳以下に限定して募集。若い声をより多く拾い上げるためのアイデアです。
また、学生だけを対象とした取り組みも。
「みやぎハッカソン2023」は全国の4年生以上の高等専門学校生、大学生、大学院生を対象に、原則5人1組のチーム単位で参加するビジネスアイデアコンテストです。宮城県が抱えるさまざまな課題を、マイナンバーカードや ICTを使って解決し、県民の暮らしをより豊かにするためのアプリやサービスのアイデアを募集しました。
こちらは宮城県や宮城県商工会議所連合会などが主催し、仙台市の秋保温泉のホテルが主な会場とすることで、温泉地としての魅力もPR。同時にIT人材の県内定着や起業につながるように企画されていました。
県内だけ、職員だけ、大人だけではない、広いアイデアを集めるという姿勢が、今後宮城県のDXの発展を加速させていくことでしょう。
参考:「新・宮城の将来ビジョン」
日経XTECH「日本初GobTechの若獅子 共創スキームで宮城県のDXを加速する」
東北地方 ・山形県:デジタル技術の活用で心ゆたかな暮らしを実現する「Yamagata 幸せデジタル化構想」
山形県では県民の「幸せ」を中心に据えたデジタル化を目指し、2021年3月に「Yamagata 幸せデジタル化構想」を策定しました。その後、2023年に政府方針である「デジタル田園都市国家構想基本方針」が策定されたことや、デジタル化に関する最新動向を踏まえ、さらに改訂が加えられています。
取り組みの中で目を引くのは「行政保有の統計情報等のオープンデータ化と利活用の推進」。これは山形県が保有するオープンデータを活用して、新たな市民サービスを生み出す試みです。データはオープンデータカタログから取得可能で、2020年度末には交通事業者の協力を得て、バス等のルートや停留所、時刻表の情報を一元的に集約・公開しています。バスの路線や運行情報などを掲載することで、住民の利便性向上を図ります。
参考:山形県「Yamagata 幸せデジタル化構想」2022年改訂版
県がデジタル化構想を進める一方で、民間でもさまざまな取り組みが進められいます。2021年に東北経済産業局が主催した「TOHOKU DX 大賞」では製品・サービス部門、業務プロセス部門、支援部門から10社が受賞し、うち6社が山形県所在の企業でした。
6社の中から、業務プロセス部門最優秀を受賞した事例をご紹介します。
タイヤのインターネット販売による売上拡⼤と RPA活⽤による⽣産性アップ
⼭形県酒⽥市の株式会社ホリ・コーポレーションは、他社に先駆けタイヤのネット販売を開始し、2004年にインターネット通販店「タイヤ1番」を出店したことで売上が⾶躍的に増加しました。販売本数が増加する⼀⽅で、発送業務で現場作業の負担が⼤きくなり、社員総出の残業も増えていく等の課題が生まれていったのです。
課題解決に向け、まずはタイヤのバーコードを読み取るだけで受注情報の確認と送り状の印刷ができるシステムをRPAで自社開発し、業務プロセスの効率化を推進。結果、タイヤの発送業務は1⼈で済むようになり残業が激減。機械で処理することで誤発送の発⽣率もほぼ0%となり、⽣産性向上に繋がりました。
このように同社はITを活用した業務改善に積極的な風土が醸成され、定期的に振り返りを行うなど改善活動を続けています。
参考:東北DX大賞
東北地方 ・秋田県:”高質な田舎”を目指した「新秋田元気創造プラン」でDXを活用
秋田県は、2022年に10年後の姿を描いた「新秋田元気創造プラン」を策定しています。プラン内では「個性が尊重され一人ひとりが躍動する姿」、「産業競争力が強化され交流が活発な姿」、「安全・安心が確保されている姿」の三つを掲げ、施策・事業を展開しています。
3つの柱を中心に施策を展開しつつ、特に注力しているのが「賃金水準の向上」「カーボンニュートラルへの挑戦」「デジタル化の推進」の3つです。特に「賃金水準の向上」は秋田県が抱える大きな課題となっています。
秋田県の経済成長率(県内総生産の増減率)は国全体を下回る傾向にあり、国内総生産に占める県内総生産の割合も伸び悩んでいます。これは、ITをはじめとした成長産業やインバウンド等の需要を県内経済に十分に取り込めなかったことや、全国で最も早いペースで人口減少が進行していることが影響しているものと考えられています。
県内総生産の伸び悩みに伴い、1人当たり県民所得(県民所得÷県人口)も全国平均を大きく下回って推移。県民所得の低下は若者にとって魅力的な労働環境に映らず、結果的に人口減に繋がってしまう可能性が高くなります。
このため、秋田県では「賃金水準の向上」を目的に、企業の生産性向上の支援やIoT等を活用した新商品の開発や新たな生産方式の導入の促進など、幅広い取り組みを行っています。
秋田県男鹿市のDX事例:スマート農業技術による露地小ギク大規模生産体系の実証事業
秋田県男鹿市の「男鹿・潟上地区園芸メガ団地」では、農林水産省の「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」に参加し、露地小ギク大規模生産体系の実証事業を行いました。従来は畝づくりのため、作業前に印付けが必要でしたが、GPS を装着したトラクターの導入により、印をつけることなくまっすぐな畝を作ることが可能になりました。
また、キクの開花時期を調整するため赤色 LED 電球により電照することで日長時間を延長。電照の稼働状況に加え、温度、湿度、照度等をモニタリングし、ほ場から離れていてもスマートフォン等で電照の稼働状況やほ場の状況をチェックできるようになっており、作業の省力化に繋がっています。
参考:秋田県「秋田県DX推進計画について」
秋田県「~大変革の時代~ 新秋田元気創造プラン」について
総務省 東北総合通信局「デジタル変革で東北の未来を拓く 東北地域におけるICT/IoT推進の現状2021」
東北地方 ・福島県:官民が一体となってDXを進めスマートシティ化を目指す
福島県は東日本大震災、そして原発事故からの影響が未だ色濃く残っていて、住民の帰還や被災者の生活再建、風評・風化の問題など、多くの課題が山積している状況です。震災以降人口が減少し、1998年に約 214 万人いた人口が2019年には184万人にまで減少。このままであれば2040年に約 143 万人にまで減少すると予測されています。
人口減少に伴い、地域経済は市場が縮小し、人手不足に陥って社会保障や行政の運営などの水準の維持も困難になることも懸念されています。その状況を変えるべくDXを推進し、「デジタル化による社会の強靱化」を目指して震災からの復興・再生と地方創生・人口減少対策を進めていく方針を掲げています。
具体的な活動計画は福島県情報化推進計画として「ふくしまICTデータ利活用社会推進プラン」を策定。「ICTの利活用により復興を推進」「最新のICTに対応」「官民データ活用の取り組み推進」の3つを軸に展開しています。
●ICTの利活用により復興を推進
・産業振興、風評払拭、風化防止、交流促進などさまざまな分野に利活用
● 最新のICTに対応
・ICTをめぐる技術進歩が急速に進展
・IoTやAIがもたらす社会経済の大変革(第4次産業革命)に対応
● 官民データ活用の取り組み推進
・国、地方自治体、事業者等が保有するデータ活用の取り組みを計画的に推進
福島県の中でも会津若松市のスマートシティへの取り組みは興味深いものです。
会津若松市ではICTをさまざまな分野で活用する「スマートシティ会津若松」の取り組みを2013年からスタートしています。特徴的なのは、行政が公開するオープンデータの他、市民から提供されたオプトイン情報を組み合わせて新しい市民サービスを生み出している点です。
たとえば、「除雪車ナビ」というアプリは、ユーザの位置情報からどの地点に除雪車がいるかが分かるようになっています。雪深い時期に歩くのが難しい積雪部分を歩くのではなく、除雪された道を通ることができるので市民からの反応も大きいそうです。
このようなアプリを作成しているのは、ICT関連産業を集積したICTオフィス「スマートシティAiCT」。首都圏で活動する大手企業やベンチャー企業、地元企業が入居し、官民が一体となって利便性の高いサービスを生み出す仕組みづくりを行っています。
会津若松市ではこのような官民が一体となって取り組む大きな流れに沿って、防災や健康といった各分野のDX推進が積極的に進められています。
参考:福井県「福島県デジタル変革(DX)推進基本方針」
「あいづわかまつ市政だより別冊」
まとめ
東北地方の少子高齢化は全国平均を上回る数値であり、どの自治体も危機感を持って取り組んでいる様子が見て取れました。
少子高齢化は地域市場の減退、所得水準の低下、人手不足・後継者不足、税収の低下、市民サービスの低下といった負の連鎖を引き起こしてしまいます。そうした大きな課題解決のため、DX推進に注力している姿が浮かび上がってきます。そして、その本気度の高さから民間企業や学術機関が関わるケースが多く見受けられました。
一方で民間企業のデジタル化・DXが進んでいない状況を鑑みると、危機感は自治体の方が高いのかもしれません。また、働き手の高齢化と後継者不足により、そもそもデジタル化の必要性を感じていない企業も少なくないのでしょう。このIT化への意識の違いを乗り越えるのは簡単ではありません。だからこそ、「官民が協力していかなければならない」という意識が強いのだとも考えられます。
デジタル化をはじめDXは、所属する企業や組織だけで取り組むには限界があります。専門知識の有無はもとより、宮城県のように所属の垣根を越えてアイデアを募ることで新しい価値を見つけることができます。
ロボフィスは全国に事業所を構え、地域の特性やクライアント企業の文化を踏まえたデジタル化・DX推進を支援しています。宮城県仙台市にも東北事業部を構え、RPAをはじめとするデジタルツールの導入・構築の経験が豊富なコンサルティングエンジニアが所属しています。リモートによるお打ち合わせはもちろん、現地でのヒアリングも無料で行っているため、東北地方でデジタル化・DX推進をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
外部の目を入れることで、きっと新しい取り組みが加速していくでしょう。
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