2022年1月より「電子取引法」が施行されました。これは経理の電子化による生産性の向上や、記帳水準の向上を目指して帳簿類の保存や手続きに対し税法を抜本的に見直したものです。
これは政府からの「業務のデジタル化を進めよう」というDX推進への後押しとも読み取れます。
なぜ政府は本気でDX推進を促すのでしょうか? それは、DXが日本の経済成長を大きく左右するとの予測があるからです。
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時代に即して商習慣を変化させることが、事業存続には不可欠
電子取引法は、帳簿書類を紙ではなく電子データで保存する場合の方法を定めたもので、保存方法だけの特例です。
税法で定められた帳簿と書類について、EDI取引※、インターネット等による取引、電子メールといった電子取引で行った場合、その取引情報を紙、もしくは電子データで保存するように定められています。ただし、紙での記録は2023年末までに廃止され、以降はすべて電子データでの保存となる予定です。
※企業間ネットワーク取引
簡単にまとめると「電子データでの取引が増えてきたので、保存方法も紙以外のものにした」と言えます。
たしかに、近年はメールやホームページからの注文が主流になりつつあります。時代と法律がかけ離れつつある中で、より実態の商習慣に近づいた改正と言えるでしょう。
法律のみならず、時代に追いついていないと感じる仕組みは身の回りにたくさんあります。その中で、もっとも身近なのが会社組織のシステムではないでしょうか。
例えば、紙媒体での日報提出。出張費用の精算は必ず領収書と押印が必要。とくに最近ではテレワークを導入する企業も多いですが「勤怠管理ができないので導入しない」といったケースも耳にします。
「今までそうやってきたんだから問題ない」。そう考えるマネジメント層や経営者もいます。また、テレワークをはじめITツールの導入にはコストがかかり、さらにその変化に応じた組織改編やルール作りが必要になります。投資回収に長い時間が必要になるため、経営課題の中で後回しにされがちです。
しかし、DX化に向けてなにもしないことでも問題は発生し、大きな損害をも生み出してしまうことを経済産業省が指摘しています。
DXを放置すれば、最大12兆円の損失が発生?
経済産業省が2018年に作成した「DXレポート」では、かつて作成したシステムをそのままにしておくことのリスクを指摘しています。
“既存システムの運用とメンテナンスは年々コストが増大するのみならず、歴史的に積み上げられてきた機能に対して、全貌を知る社員が高齢化したり、退職したりして、更新におけるリスクも高まっている”
経済産業省.2018年「D Xレポート」より抜粋
上記の指摘について詳しく見ていきましょう。
長年使用している既存システムは、どの組織にもあると思います。この既存システムを更新せずに使い続けていると、いずれはシステムのハードウェア、あるいはソフトウェアが廃盤・サポート停止になる可能性があります。
近々では、インターネットエクスプローラーは(IE)は2022年6月にサポートを終了。Microsoft社は次の推奨ブラウザにEdgeを用意していますが、この後継ブラウザは全く同じシステムというわけではなく、もしIEありきのシステムを構築している場合は修正が必要です。
また、長きにわたって活用されてきた基幹システムであっても、業務や部署に応じてカスタマイズをしてきたはずです。場合によっては経営統合などをきっかけに、様々なシステムが組み合わさっていることもあります。
その際、度重なる改修によってシステムの全容を把握している人材がいない、ということも。また、もし把握している人材がいたとしても、導入時から担当していた従業員は退職間近、というケースが増えてきています。その際、システムの全容が不明のまま、場合によっては改修さえ難しくなることもあり得ます。
複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムの改修は、ITベンダーも容易ではなく、莫大なコストがかかります。
「企業 IT 動向調査報告書 2016」(日本情報システム・ユーザー協会)によると、企業が保有する「最も大きなシステム」(基幹システムのこと)が、11 年~20 年稼働している企業の割合は 40%。この状態のまま2025年を迎えると、21年以上稼働している企業の割合は 60%になります。古いシステムを使い続ければトラブルリスクも3倍になり、経済損失は最大で約 12 兆円(年)にのぼると指摘されています(経済産業省.2018年「D Xレポート」より)。
これが「2025年の崖」と呼ばれるDX放置のリスクです。
はじめてのDX推進で取り組みたい4つのアクション
その後、経済産業省は2020年に「DXレポート2.0」を発表。そこでは「コロナ禍を契機に企業が直ちに取り組むべきアクション」として以下の4項目が紹介されています。
- 業務環境のオンライン化
・執務環境のリモートワーク対応
・オンライン会議システムによる社内外とのコミュニケーションのオンライン化 - 業務プロセスのデジタル化
・OCR 製品を用いた紙書類の電子化
・クラウドストレージを用いたペーパレス化
・RPA を用いた定型業務の自動化 など - 従業員の安全・健康管理のデジタル化
・活動量計等を用いた現場作業員の安全・健康管理
・人流の可視化による安心・安全かつ効率的な労働環境の整備 など - 顧客接点のデジタル化
・電子商取引プラットフォームによる EC サイトの開設
・チャットボット等による電話応対業務の自動化・オンライン化
上記は超短期で行うタスクとして取り上げられている内容です。これらをベースに、短期・中期的にDXを進めていくアクションプランが提示されています。
まとめ
今後、企業の継続的な活動のため、DXは避けて通れません。
しかし、先述した超短期のアクションであっても、自社だけで進められる組織は多くはないでしょう。ベンダーをはじめとする他社と協力しあって進めていくことが必要であり、互いに目標に向かって行動する関係構築が求められます。
自社の思いや精神を理解し、ともにDXを進めるパートナーを探し出すことが、今後の企業の成長のために重要な時代になっていると言えます。
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