■前回までのあらすじ
実際にRPAを稼働させて、トライアンドエラーを繰り返している初心さん。ずいぶんRPAが社内に浸透してきたようです。一仕事終えた感のある初心さんに、困り顔の部長が近づいてきました…。
初心くん…そろそろROIを出さないといけないんだ…
ROIってなんですか??????
ゼロからわかる!RPAと導入のコツ
「RPAとは?」「RPA導入を考えているけれど、どうすればいいのかわからない」といった方に向けて、わかりやすく解説した資料です。
ROIとは?
ROIとは「Return On Investment」の略称で、「投資収益率」や「投資利益率」とも呼ばれます。その投資でどれだけ利益を上げたかを知ることのできる指標のことを指します。
頻繁にビジネスシーンで登場するので、ご存じの方も多いでしょう。算出する式は以下の通りです。
ROI算出式
(売上ー売上原価ー投資額)÷ 投資額×100(%)
例えばECサイトの売上を上げるため、インターネット広告に100万円をかけたとします。200万円の売上があった場合、かけたコストに対して倍の収益があったことになります。
めっちゃROIが高かったってことですね!
逆にROIが低いほど、投資に対して利益が得られなかった、ということだよ
Tips 費用対効果
「投資対効果」というよく似た表現もあります。投資対効果の算出式は以下の通りです。
投資対効果 = 効果 ― 費用
ROIは投資と利益の比率(%)で表現している点に違いが見られます。文脈によっては同じ意味として使用される場合もあります。
RPA導入時におけるROIの出し方
じゃあ早速計算してみよっと。RPAを導入する時に、どんな費用がかかったかな?
RPA導入において、多くは次のようなコストが発生します。
システム導入費…毎月かかるライセンスコスト
導入サポート費…システム構築を専門家に依頼する場合に必要
これらのコストに対し、RPA導入によって得られた人件費の削減効果が大きければROIが高いと言えます。
人件費削減効果は、自動化することによって得られた時間に、その作業に普段関わっている人の人件費を掛け合わせることで算出可能です。
人件費削減効果 = 自動化によって得られた時間 × 作業者の人件費
残業代だけじゃなくて、人員を他部署に回したらその人件費分も削減できてるって考えないとね!
RPAはROIが低い? 数字の見方に注意!
RPAの導入費用と、なくなった残業代・人件費を計算すると…あれれ? あんまり数字が良くない?? こんなに仕事が楽になったのに!
RPAはライセンス料がかかるため、「どれだけ人件費を削減できても、さほど費用対効果が見込めない」と判断する方もいます。
もちろん、単純に残業代だけでも十分に投資対効果が得られるケースもありますが、「削除できた人件費」だけを見ると、RPAの投資対効果を限定的にしてしまいます。
例えば、ライセンス費用とサポート費用併せて年間合計150万円かけ、年収600万円のベテラン社員Aさんの業務効率化に取り組んだとします。
Aさんは一日8時間、1カ月20日稼働とすると、時給は3,125円。RPAライセンス費用を150万円とすると、投資額を回収するためには
150万円÷3,125円=480時間分 を削減しなければいけません。
480時間削減するのは、結構大変だなあ…
人件費の削減だけで投資コストを回収するのは、意外と大変です。社内の運用体制などが整わず目標時間分を削減できなかった、というケースも現場では少なくありません。
しかし、「だからRPAを導入しても効果がない」と結論を出すのは早すぎます。
RPA導入効果は、数字以外にも注目!
削減時間にしてみたら大したことなかったけど、気持ちとしてはあのメンドクサイ業務がなくなっただけで、他の仕事に集中できるようになったんだけどなあ…
私はそれも大切な効果だと思うよ
おさらいですが、RPAは「判断を伴わない単純作業」を自動化するのに非常に適しています。これによって、単純作業で消費されていた時間を別の業務に振り分けられるようになります。
つまり、この「削減した時間でどのように生産性を上げるか」が大きなポイントとなるのです。
先ほどご紹介したベテラン社員Aさんの業務で、時間削減効果が月10時間得られたとします。
そうすると、費用対効果は 時給3,125円×10時間=31,250 約3万円となります。
コスト削減の一方で、Aさんの業務時間が10時間加わります。
この10時間で何をするのか。
新たなサービス企画をまとめられるかもしれません。
大きな契約をとるかもしれません。
顧客に丁寧なサポートを行って、信頼関係を強固にするかもしれません。
部下への教育を行うことで、部下が大きな成果を上げるかもしれません。
RPA導入は時間削減だけでなく、投資効果も得ることができるのです。
また、RPAの導入効果は、時間や売上など数字以外にも表れる可能性があります。
残業がなくなったことで、早く帰宅できるようになり、体調管理が万全になった。
煩雑な業務が減って、メンタル面での負担が減った。
業務フローが明確になって、つねに業務に集中できるようになった。
こうした効果は目に見えるものではありませんが、会社の雰囲気が大きく変わりますし、ひいては離職率の低下、採用・教育コストの減少といった、会社にとっての大きなメリットにつながります。
一部の企業では、RPA導入について投資と割り切って考えていることもあります。投資と割り切ると、年間150万円程度で「業務効率化」「重要な業務への時間投資」「従業員の定着率向上」といった効果が得られるというのは、企業経営全体で見るとROIが高いと言えます。
RPAの効果って、色々なところにあるから数字だけでは測れないこともあるよね
もちろん、会社だから数字は大事だよ。最初に掲げた目標が「人件費●%削減」だったら、それにこだわることも大切だ。
よーし! ROI算出しちゃうぞ!
まとめ
●ROIとは、「投資収益率」「投資利益率」のこと
●ROI=(売上ー売上原価ー投資額)÷ 投資額×100(%)
●ROIを考える時は、残業代や人件費だけではなく、自動化して生まれた時間で、どのような業務を行ったかも重要。
●RPAの効果は、時間や金額などの数字で表せるものだけでなく、働いている人の心身の健康にもプラスの効果をもたらす。それが結果的に会社のメリットにつながる。
つづく
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