■前回までのあらすじ
RPAの導入で「仕事が楽になる!」と前向きに調査をしている初心(はつこ)さん。けれど、初心さんに調査を依頼した部長自身、RPA導入に不安があるようです。そこで部長は、DX・業務効率化のセミナーに参加することにしました。
初心くんは頑張ってくれているが、私自身RPAとかDXとかがわからない…。今まで人がやってきた仕事を機械に任せて大丈夫なのか?
ゼロからわかる!RPAと導入のコツ
「RPAとは?」「RPA導入を考えているけれど、どうすればいいのかわからない」といった方に向けて、わかりやすく解説した資料です。
そもそもDXってなに?
DXとかRPAとか、世間ではセミナーをたくさんやっているみたいだな。一度参加してみよう。
近年頻繁に耳にするDX(デジタルトランスフォーメーション)ですが、言葉だけが先行して、「ITを使えばいい」「データ化すればいい」という誤解をされている方もいます。
DXについては、経済産業省が発表した「DX推進ガイドライン」に以下の定義が紹介されています。
企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること
Japan IT Market 2018 Top 10 Predictions: デジタルネイティブ企業への変革-DXエコノミーにおいてイノベーションを飛躍的に拡大せよ,
IDC Japan プレスリリース, 2017年12月14日
要約すると「データ(IT)を活用することで新しい価値を生み出すこと」と言えます。
「DXを進めるからRPAを入れるぞ」と会社の指示を言葉通りに受け取っていたけれど、どうやら違うみたいだな?
なぜDXが必要か?
最近になってDXが注目されるようになったのには、理由があります。
DXが必要な3つの理由
① 少子高齢化による働き手の減少
② デジタルの普及による顧客や市場の変化
③ 旧システムの老朽化と刷新の急務
① 少子高齢化による働き手の減少
少子化によって、働き手はこの先減る一方です。そのため、このままだと1人あたりの労働者に対する仕事量が増えていってしまいます。一方で、個々の働き方に柔軟に対応できるよう「働き方改革」も推進されています。
ですから、いかに1人あたりの生産性を上げていくかが重要になります。
そこで、機械で代替できる仕事は機械に任せてしまおう、というのが業務のデジタル化です。
② デジタルの普及による顧客や市場の変化
例えば、インターネットで買い物をすることは珍しくありませんね。今ではスマートフォンで家電を操作することもできます。
また、IoT といって、従来インターネットに接続されていなかった様々なモノ(住宅・建物、車、家電製品、電子機器など)が、ネットワークを通じてサーバやクラウドサービスに接続され、相互に情報交換をする仕組みがあります。
IoTが導入された冷蔵庫から「卵が切れていませんか?」と自動音声でお知らせしてくれるようになる日も遠くないでしょう。
そんな時代に、あなたの会社は対応できるでしょうか?
上記のような小売に限らず、コロナ禍でも社会や人の動きは大きく変化しました。その際にも、リモートに対応できるのか、難しい職種であればケアはどうするか。さまざまな会社で行動を問われたと思います。
これからITの力によって社会も人の行動も大きく変わります。その時代に対応していく準備が必要なのです。
③ 旧システムの老朽化と刷新の急務
会社で使用しているシステムを導入して、何年が経っていますか?
大型システムは一度導入すると、その後は都度、一部分を改修して使用していくでしょう。しかし、あまりに長くシステムを使って改修を重ねていると、システム全体のことを把握している人がいない、という状況になりかねません。また、物理的にもパーツが入手困難になったり、ソフトのサポートが終了したりするケースも出てきます。
放置したままだと大きな損害につながりますし、セキュリティ的にも問題が発生する可能性が高まります。そうした危機に陥らないために、システムの改善やIT人材の育成、業務フローの作成などの準備が必要です。
DXって、一部門だけが頑張ればいいんじゃなくて、会社全体で考えないといけないことなのか?
DXが会社全体の動きであるのは間違いありません。ですが、いきなり大きな仕組みづくりをするのは大変ですし、コストもかかります。
現実的な第一歩として、身近なところからDXを進めてみましょう。簡単なところからだと、「書類をデータ化する」も立派なDXの一歩です。書類がデータ化できれば、提出をメールで行うこともできますから。これも立派なDXです。
コミュニケーションがDXを支えるカギ
今はRPAを導入しようとしているから、初心くんは①に取り組んでくれているってことだな。上司として私ができることはなんだろう?
DX推進は、DX推進チームを中心に他部署を巻き込んで進めていく必要があります。というのも、どんな仕事も他部署とつながっているからです。経理と営業、営業と企画……一部署だけで完結している仕事はありません。
そこで必要なのが、部署間でのコミュニケーションです。
同じ社内でも互いにどんな仕事をしていて、互いの仕事がどんな風にかかわりあっているのか、把握している方は少ないものです。その連携を紐解くうちに、ムダな業務が見つかったり、効率化・自動化できる業務が見つかったりすることもあるかもしれません。
また、互いにどんな仕事をしているか理解することで、協力体制を強化することも可能です。
日常的に「この仕事、こうすればもっと時短になるよ」と声を掛け合えるようなら、DXにかかわらずいい職場ですよね。普段からコミュニケーションが取れていれば、DXを進めるにあたっても協力が得られやすくなります。
これは部署間だけでなく、同じ部署内でも同じことが言えるかもしれません。
初心くんがいきなりほかの部署に「RPAでできそうな業務ないですか?」と聞きに行くより、部長の自分が一言先に言っておくだけでも助けになるかも?
まとめ
● DXは「データ(IT)を活用することで新しい価値を生み出すこと」
● DXが必要な3つの理由は
①「少子高齢化による働き手の減少」
②「デジタルの普及による顧客や市場の変化」
③「旧システムの老朽化と刷新の急務
● DXは身近なデジタル化からはじめる
● 部署間のコミュニケーションがDXを進めやすくする
つづく
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