ビジネスにおいて生産性を上げるのは大きな課題の一つです。
しかし、日本は諸外国と比較して生産性が低いという調査結果もあります(日本の時間当たり労働生産性は、49.9 ドル。OECD 加盟 38 カ国中 27 位)。
参考:公益法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較2022」より
生産性を上げるにはどのようにすればいいのでしょうか? 本稿では5つの方法にまとめました。
生産性という言葉の実態とともに、個人、そして会社や組織が生産性を向上させるためのヒントをお伝えしていますので、「なかなか生産性が上がらない…」とお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
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生産性とは
そもそも、生産性とは何を指しているのでしょうか?
生産性とは、インプット(投入)÷アウトプット(産出)で表せます。つまり、あるモノをつくるにあたり、生産にかかわる要素がどれだけ効果的に使われたか、ということです。
生産性=インプット(投入)÷アウトプット(産出)
生産性はいくつかカテゴリに分けられます。
物的生産性
生産するものの大きさや重さ、個数といった物量を単位とする場合の生産性のこと。
例)一人当たり労働生産性(労働者数÷生産量)、資本生産性(資本ストック量÷生産量)
付加価値生産性
生産額(売上高)から原材料費や外注加工費、機械の修繕費などを覗いたもの。
例)一人当たり労働生産性(労働者数÷付加価値額)、資本生産性(資本ストック÷付加価値額)
全要素生産性
労働、資本、原材料などのすべての生産要素に労働生産性を測定する際の労働と同じ役割を持たせたもの。
例)経済成長率=全要素生産性上昇率+(就業者増加率×労働分配率)+(資本ストック増加率×資本分配率)
労働生産性上昇率=全要素生産性上昇率+(資本装備率×資本分配率)
例えば1つの部署で得られる利益が100として、その部署が20人であれば、1人あたり5の利益を生み出していることになります。もし部署の人員が10人で同じ100の利益を得られるのであれば、1人あたりの利益は10です。この場合、後者の方が1人あたりの生産性は高くなります。
「生産性を高める」ということは、一人当たりが行える業務量(生産量)を増やす、もしくは一人当たりが生み出す付加価値額をさらに高める、のいずれかになります。
生産性を高める5つの方法
業務量を増やす方法
生産性を高めるには、業務量を増やす、もしくは付加価値を高めることが必要です。どのようにして生産性を上げていくのか、まずは業務量を増やす方法から見ていきましょう。
①作業時間を短くする
一作業にかける時間を短くすれば、同じ時間でもより多くの業務を処理することができます。
個人単位で作業時間を短くするには、以下のような方法が考えられます。
●業務の段取りを整えてから作業に取り掛かる
●パソコンのショートカットキーを使いこなす
●辞書機能の短縮よみ機能を使う
企業や組織内における作業時間の短縮には、以下のような方法が考えられます。
●RPAなどを導入して業務を自動化する
●BIツールなどを導入して、データ分析や資料作成の時間を短縮する
●生成AIを導入して資料作成やサマリなどを自動作成する
個人の努力ももちろん重要ですが、会社や組織が生産性向上に向けてITツールの導入や業務の見直しをすることで、一層大きな効果が得られます。
②業務内容を精査する
ムダな業務がないかを見直してみることも重要です。
ここで言うムダな業務とは、その業務が利益率を上げる(クオリティを上げる)のに貢献していない、もしくは他部署の業務パフォーマンスをアップする(作業工程を減らすなど)ことに寄与していない業務を指します。
かつては必要だった工程でも、業務フローが変わって不要になっていることもあります。後工程が自身の所属する部署ではない場合、業務フローの変更を聞かされていない、ということもあるので、業務フローの前後の部署にもヒアリングを行って、ムダな業務がないかを確認しましょう。
ムダな業務を省ければ、その分他の業務に時間を使えて、生産性が向上します。
利益率を高める方法
では、利益率を高めるには、どんな方法があるでしょうか。
③ミスをしない
どんな素晴らしい成果物をつくれたとしても、そこにミス(欠陥、キズ)があれば高い利益率にはつながりません。ミスなく成果物を納品することが、利益率の高い業務には欠かせないのです。
人的ミスが起こりやすいのであれば、自動化可能な部分は自動化することで、集中力欠如によるケアレスミスがなくなります。近年はキズや不良品のチェックなども、AIに画像を学習させることで可能となっています。
④社内で情報を共有する
付加価値の高い仕事をする人は、ノウハウを有しています。それを社内勉強会で教え合うなど、社内ナレッジに蓄積していくことで、会社全体の業務の価値を高めていくことができます。こうした個人の活動を、会社や組織が評価点に組み込めば、会社の風土としても根差していくことが期待できます。
⑤教育サポートを行う
個々人が自らスキルアップに励むことも重要ですが、多くのビジネスマンは日々の業務で手一杯になりがちです。会社や組織から教育サポートが受けられれば、モチベーションアップや、学習動機を維持することにつながります。
資格手当を用意する、業務で新しいスキルを使ってプロジェクトを進める、などチャレンジしたことを査定対象にする、といったこともサポートに含まれます。
生産性向上のメリット
生産性を向上させることは、企業や組織に大きなメリットをもたらします。
人手不足の解消
主に物的生産性を向上させることで、人手不足の解消が期待できます。一人当たりの作業量を増やすことができるので、これまで3名で行っていた業務を2名で行えるようになれば、残り1名をより人手が足りない部署に配置換えすることも可能になります。
コスト削減
生産性が向上すれば、残業時間の削減も期待できます。残業代の抑制につながり、人件費のコスト削減につながります。
従業員のモチベーションアップ
ムダな業務が減って自分のすべき業務に集中できる環境が整うと、それだけで仕事に対するモチベーションはアップします。
また、残業時間も少なくなれば体調を整えたり、家族と過ごす時間を増やしたり、趣味に興じるなど日々の満足度もアップし、エンゲージメントの向上も期待できます。
労働環境の改善
ムダな業務が減り、残業がなくなることで労働環境も改善されます。労働環境が改善されることで離職率が減り、再雇用にかかる金銭的・時間的コストも削減できます。
まとめ
本稿では物的生産性と付加価値生産性を分けて考えましたが、実際にはいずれも絡み合って全体の生産性が向上していきます。
例えば、物的生産性を向上させるためにRPAを導入して入力・転記作業を自動化すれば、結果的に入力ミスが減って業務の質向上が見込めます。
ミスが減れば修正時間が削減でき、残業時間減、担当者のストレス軽減など付加価値生産性の向上につながっていきます。
例としてRPAの導入を取り上げましたが、ITツールはうまく導入すれば生産性向上に大きく寄与するものの、ITツールを導入したから必ず生産性が上がる、というものでもありません。
ITツール(RPA)の導入についてはこちらをご覧ください。
「RPAで業務効率化するカギとは?」
どんな業務を効率化したいのか、それによってなにを得たいのかを明確にした上でツールを導入することが、結果的に生産性を向上させる最短距離となります。
生産性向上のため、個人はもちろん、全社的に活動することがもっとも重要ですが、自社の視点からは問題が見えにくくなっているケースもあります。
そんな場合は、生産性向上・業務効率化に詳しい外部の組織に協力を仰ぐことも有効です。社内からは見えない視点を得ることができますし、専門家ならではの知見やサポートも受けられます。
ロボフィスは全国に事業所を構え、地域の特性やクライアント企業の文化を踏まえた生産性向上・業務効率化を支援しています。エンジニアが直接ヒアリングして、クライアント企業の課題を解決するための最善策をご提案します。
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