前回までのあらすじ
DXを進めるにあたって、「課題設定」をしっかりした上で「BPR」「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」を進めていくことがDXの基礎であることを学んだ初心さん。しっかり理解できたようですね。今日は視点を変えて「進まない理由」を考えてみるようです。
今回から「DXが進まない理由」について、状況別に考えていきます。DXが進まないとお悩みの方が、どこでつまずいていて、どのように解決すればいいのか、考え方をみていきましょう
ゼロからわかる!RPAと導入のコツ
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「何からやればいいかわからない」の原因は?
前回までの私ですが???
前回:DXの進め方 第4回「「DXは小さく始めて大きく育てる デジタイゼーション・デジタライゼーションとは?」
それだけよくある話、ということですね。
「DXって何からやればいいの?」「とりあえず担当者にまかせておけばいいか」。こんな風にしていては、DXは進まないでしょう。さらには、なにかツールを入れただけで終わって成果が出ず、「DXは意味がなかった」と結論付けてしまうことも…。
よくある話なのですが、DXの必要性を考えると笑ってはいられません。
企業存続をかけた転換期となるはずのDXを放置しておくと、スマートフォンの台頭によって市場が縮小してしまったカメラ業界のようになりかねません。一方で、すべての会社が富士フイルムのように別業界に参入して華々しい結果を残せるわけでもないでしょう。
参考:初心と学ぶ、DXの進め方:第1回「DX(デジタルトランスフォーメーション)ってなに?」
どうして「何からやればいいかわからない」という事態に陥るのでしょう?
この理由を考えることで、取り組むべき課題が見えてきます。
「何からやればいいかわからない」の理由は、大きく以下の4つに分けられます。
「何からやればいいかわからない」の理由
- 経営ビジョンがない
- 具体策がない
- DXへの高い期待値
- 現場とのコミュニケーション不足
それでは、一つずつ見ていきましょう。
DXが進まない理由① ビジョンがない
この前も、まず初めに「目指す姿」を決めましたよね
それだけゴール設定は大事だということです
DXの重要性を理解して「すぐに始めなければ」と慌てて推進しようとする会社もあります。しかし、その意識が強いあまりに「なぜDXを進めるのか」という問いに対する答えがないケースもままあります。
進むべき方向が見えていないのに歩き出しても、道に迷ってしまい先に進まないでしょう。だからこそ、まずは「何のためにDXをするのか」を考えることは必須であり、DXを進めるのは自社の経営存続をかけた改革を行うためであると考えると、組織における「目指す姿」につながっていくのです。
課題の設定方法については前回説明したので、ぜひご覧ください。
「目指す姿」、つまりビジョンはどうしても経営層が決断しなければなりません。そのため、担当者には経営層にDXを推進する目的や、自社が置かれている状況について、しっかり説明する準備も重要です。
目指す方向さえわかれば、なんとか行きたい場所に一歩進むことができますよね!
DXが進まない理由② 具体策がない
ビジョンがなければ課題も見えてきませんから、具体策も立てられません。
ビジョンを描き、現在の自社のビジネス・プロセスを検討し、両者を比較した上で目標までの差を埋める方法を考えましょう。これが具体策を立てることにつながっていきます。
DXが進まない理由③ DXへの高過ぎる期待値
「とりあえずDXさえしておけばいい」「デジタルはなんでもできる」「DXはすぐに結果を出せる」という経営者の思い込みで導入を進めようとしても、DXは進まないでしょう。
先述したようにDXを進めるにあたっては組織の「目指す姿」、経営ビジョンが必要ですし、現在の業界や自社分析も欠かせません。それらを怠って「DXはシステムを入れてデジタル化すること」という誤った認識を持ち、さらに「担当者に任せていれば3カ月くらいで成果が出るはず」と担当者を圧迫する目標を押し付けてしまうと、社内に不和まで巻き起こしてしまいます。
DXは長期的視野が必要な大きなプロジェクトです。そして、最終決定は経営者が担う必要があります。経営者はDXについての正しい理解が必要ですし、DX担当者も経営層にしっかり説明することが必要です。
誤った認識を正した上で、改めて組織のビジョンを設定しましょう。
DXが進まない理由④ 現場とのコミュニケーション不足
DXの基盤は、BPR・デジタイゼーション・デジタライゼーションでしたね。
これらを進める舞台は現場です。なかでも、課題解決することで経営に大きなインパクトを与える部署からスタートするケースが多いでしょう。
DXの基盤を作るためには、まずこの部署のヒアリングから始めることになります。しかし、改善点が出てこない、ということがままあるのです。
改善点が出てこないのは、以下のようなケースです。
- 「現状上手く仕事が回っているから、特に改善は必要ないかな」
- 「改善案を不満だと受け取られて、マイナス評価になるとイヤだな」
- 「たくさんあるんですよ!」
①については、一見問題なさそうに見えますが、BPRは「抜本的に見直す」でしたね。「今でいい」ではなく「もっと良くするためにどうしたらいいか」の視点をしっかり説明する必要がありそうです。
②は、従業員に対して心理的安全性を担保することが必要そうです。
心理的安全性とは、「チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」のこと。評価には一切影響がないことをしっかりと伝えることが大切です。また、普段から現場スタッフと経営層、あるいはマネジメント層がコミュニケーション不足であることも想像できます。
DX推進だけでなく、これから省人化していく組織運営において、コミュニケーション不足は百害あって一利なしです。一方的にマネジメント層が語る場だけではなく、双方向のコミュニケーションが取れる社風を築くことも大切です。
③は、色々とこれまで考えてきたことを伝えるチャンスだととらえてもらっているのでしょう。とても良い傾向ですね。ですが、このたくさんある改善してほしい内容に「今はそういったことは聞いてないんだけどな」という内容も含まれているかもしれません。
そういった場合も一度受け止めて、さらによく話を聞いてみてください。実はその話の奥に、業務改善すべきポイントが隠れているかもしれません。
「困ってることあります?」って聞くと「ない」って言われるけど、「○○って正直どう?」って聞くと「実はさ~」って話してくれる人、結構いますよね
初心さんって、ヒアリング上手ですね。コミュニケーションが大事なのは「正直どう?」を聞くためなんですよ
まとめ:ビジョンと課題の共有が大切
DXが進まないよくある理由「何からやればいいかわからない」は4つの問題を解決することで解消できそうですね。
「何からやればいいかわからない」の理由
- 経営ビジョンがない
経営者に協力を仰ぎ、ビジョンを社内で共有する
- 具体策がない
ビジョンと現在の自社の強みのギャップを課題としてとらえ、それについての対策を考える
- DXへの高過ぎる期待値
経営者やマネジメント層に、DXの正しい知識を伝え、現実的な期待値に修正する
- 現場とのコミュニケーション不足
業務について正確なヒアリングを行うために、現場とマネジメント層のコミュニケーションを密にする。また、職場の心理的安全性を高める
本当に、DXって目標がないとダメなんですね
実はDXだけじゃなく、どんな仕事でも、生活にだって目標がないと行きたい場所へは行けないんですよ。
なんとなく生活しているだけでは貯金が貯まらないように、仕事も「○○するぞ!」という意識が行動を変えるんです
次回はDXが進まない“あるある”な現場その②「検証ばかりでいつまでも事業化できない」場合の理由と対策をご紹介します。
つづく
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