近年、業務効率の改善を目的に活用が進んでいる業務アプリ。そして、業務アプリを簡単に作成できるノーコードツールも導入が進んでいます。メディアなどでも度々紹介されているため、会社に導入されていなくても気になっているビジネスパーソンも多いでしょう。
本稿では、ノーコードツールの基本知識はもちろん、ノーコードツールが業務改善にどれだけ欠かせないものか、事例を交えて解説します。
「よく耳にするけれど、業務アプリってなに?」「ノーコードってどういうこと?」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
アプリ開発事例集
Power Apps、kintoneを活用した業務自動化・効率化の事例をまとめました。バックオフィス、営業といった業務のよくある業務での活用事例をご紹介していますので、「これからアプリ開発を行いたい」「アプリ開発ツールでどんなことができるのか知りたい」という方におすすめの資料です!
ノーコードツールとは
ノーコードツールは、プログラミングの知識がなくても、誰でも簡単に業務アプリケーションやWebサイトを開発できるツールです。
これまで業務アプリケーションやWebサイトを作成しようとすると、プログラミング言語を使ってソースコードを記述する必要がありました。そのため、システム開発にはエンジニアのスキルと経験が必要となり、外注することで費用・時間ともに大きなコストが発生していたのです。
ノーコードツールは、あらかじめ用意された部品を組み合わせることで、プログラミングの知識がなくてもアプリケーションを開発できるようにしたものです。部品をドラッグ&ドロップで配置するだけで、簡単に機能や画面のレイアウトを作成できます。
ノーコードツールのメリット
- プログラミングの知識がなくても開発できる
- 開発期間やコストを削減できる
- 非エンジニアでも業務改善に貢献できる
業務アプリとは
ノーコードツールで作成できる業務アプリについて、具体的にはなんのことかわからない、という方もいるでしょう。
業務アプリとは、企業内でのさまざまな業務を効率良く処理するためのアプリケーションのことです。生産管理、販売管理、在庫管理、受注管理、財務・会計、人事給与、営業、情報系など、多くの種類があります。
たとえば、最近メディアでよく広告を見かける支払い管理を行う経費精算システムは財務・会計系の業務アプリになります。
業務アプリを導入することで、これまでメールや書類など窓口が多様化していたものを、アプリの申請画面一本に絞りこむことができ、担当者の作業負担が軽減されます。
また、クラウドの業務アプリであれば申請者もパソコンやスマートフォンで、どこにいても申請することができ、「出張から帰ってすぐに書類を提出しに出社する」といった手間もなくなります。
さらに、業務アプリを使用することで、一部業務を自動化することも可能です。先述した経費精算システムであれば、見積もりや請求書などを自動で作成・発行することもできます。そのほか、在庫管理系の業務アプリであれば、出荷後の在庫数を自動で変更するようにできます。
業務を自動化すると、人的ミスも削減できます。ヒトが作成した請求書であれば、宛名や品目、個数、金額などは何度も確認が必要です。しかし自動化すればコンピュータが事前に入力された通りに記載するため、間違えることがありません。最終的にヒトのチェックを一回するだけで良くなり、効率化にもつながります。
業務アプリを使用するメリット
- 業務の効率化と生産性の向上
- 業務の品質と精度の向上
- 業務の自動化と省力化
このような業務効率化につながる業務アプリを、専門知識なしで作成できるのがノーコードツールなのです。
業務改善の進め方
ノーコードで業務アプリを作成できるノーコードツールは、これからのビジネスシーンにおいてなくてはならないものです。
しかし、導入しただけで業務が効率化できる、というわけではありません。事前に準備を整えた上で、目的をもって導入・運用することが重要です。
そもそも、「業務を改善する」とはどういうことでしょうか?
業務改善とは、現状の業務プロセスや作業内容に問題点や無駄がないかを見直し、改善することです。業務を改善することによって、コスト削減や生産性向上、社員満足度の向上などの効果が期待できます。
業務改善は、一般的に以下のような手順で進めます。
業務の可視化
業務を改善する対象となる業務を明確にし、その内容や流れ、担当者、所要時間などを詳細に把握します。業務の可視化には、フローチャートやチェックシートなどのツールが役立ちます。
課題の洗い出し
可視化した業務について、問題点や無駄な部分を洗い出します。「As is/To be」や「6W2H」といったフレームワークを活用してみましょう。
As is/To be…As is(現状)、To be(あるべき理想の姿)の2点のギャップを課題として捉えるフレームワーク
6W2H…Who(誰が)、Whom(誰に)、What(何を)、How(どのように)、Why(なぜ)、When(いつ)、Where(どこで)、How much(いくらで)の8項目で課題を整理するフレームワーク
解決策の立案
洗い出した課題に対して、解決策を考えます。解決策の立案には、「ブレーンストーミング」や「PDCAサイクル」などの手法が用いられます。
PDCAサイクル…Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)を繰り返すことで課題を改善していく手法
ブレーンストーミング…自由に意見を出しあうことで新たな発想を生み出したり、アイデアを昇華させたりする会議手法
実行
立案した解決策を実際に実行します。実行前には、目標や期限、担当者、予算などを明確にしておきます。実行中には、進捗状況や効果測定を定期的に行います。
評価・定着・改善
実行した結果を評価し、目標が達成されたかどうかを確認します。目標が達成された場合は、解決策を定着させるために必要な取り組みを行います。目標が達成されなかった場合は、原因を分析し、改善策を考えて再度実行します。
以上が業務改善の基本的な進め方ですが、業務改善は一度で完了するものではありません。継続的に業務を見直し、改善することで、より高い効果が得られます。
業務改善にノーコードツールを使用した事例
ノーコードツールで業務改善を行う例としては、以下のようなものがあります。
勤怠管理アプリ
現在も勤怠記録をタイムカードで管理している企業は少なくありません。しかし、感染症の蔓延などでリモートワークが必要となる状況に陥ることもあります。勤怠管理アプリを作成すれば、自宅や出張先で出退勤の記録を残すことができます。
申請アプリ
社内の申請窓口をアプリにすることで、記載内容の形式を整え、必須項目の設定で記入漏れを防ぎます。担当者の負担を軽減することにもつながり、申請者も差し戻しなどで時間をロスすることもありません。また、休暇申請などは申請後に上長に自動で承認フローを送るなど、自動化も可能です。
顧客管理アプリ
顧客データの入力をアプリで行うことで、顧客情報を一元管理でき、必要なタイミングで社内関係者が情報を閲覧できるようになります。営業活動やマーケティングを行う際に効率化が図れます。
初心者向けノーコードツール紹介
ここからは、ノーコードツールのなかでも特に初心者向けのツールをご紹介します。ノーコードツールで業務アプリを社内内製できれば、大幅にコストを削減することも期待できます。
Power Apps(パワーアップス)
PowerAppsは、Microsoftが提供するノーコード・ローコードの業務アプリ開発ツールです。サブスクリプションサービスであるMicrosoft 365に含まれているアプリで、部品をドラッグ&ドロップするだけでカンタンに業務アプリを作成することができます。
Power Appsのメリットは以下の5つです。
メリット① カスタマイズ性の高さ
ドラッグ&ドロップで作成可能なインターフェイスを提供しており、プログラミングの知識がなくてもアプリケーションをカスタマイズすることができます。
メリット② マルチプラットフォーム対応
Windows、iOS、Android、Webなど、多数のプラットフォームに対応しています。また、各種のデバイスに対応したレスポンシブデザインとなっているので、一度作成したアプリはタブレットやスマートフォンでも見やすい画面に自動で調整されます。
メリット③ ワークフロー機能
Power AppsはPower Automate※と連携していて、承認プロセスやタスク管理などを自動化することができます。この自動化の設定にはテンプレートが用意されていて、設定も簡単です。
※Microsoft社が提供する業務自動化ツール。クラウド上でフローをノーコードで作成可能。
メリット④ 簡単なデータ分析
Power Appsはデータを蓄積することが可能なため、簡単なデータ分析を行うことができます。また、ExcelやPower BI※と連携することでビジネスデータを簡単に分析できるようになります。
※Microsoft社が提供するBIツール。BIツールは「さまざまなデータ処理と分析を行い、データを可視化してビジネスの意思決定をサポートするツール」を指します。
メリット⑤ 強固なセキュリティ
PowerAppsは、アクセス制御やログ管理など、セキュリティに関連する機能が充実しています。
Power Apps を利用する場合は、以下のいずれかのプランの購入が必要です。
PowerApps | 料金(月額) |
---|---|
アプリごとのプラン | 540円 |
ユーザーごとのプラン | 2,170円 |
従量課金プラン | 1,120円 |
また、以下のプランを利用中であれば追加費用なしで Power Apps を利用できます。
Office 365
Microsoft 365 E1/E3/E5/F1
Microsoft 365 Business
kintone(キントーン)
kintoneは、日本発祥のクラウドベースのノーコード・ローコードによるアプリ開発ツールです。ビジネスプロセスを簡素化するためのさまざまな機能が提供されていて、コーディング知識不要で業務アプリケーションを簡単に構築できるのが魅力です。
kintoneのメリットは以下の6つです。
カスタマイズ性の高さ
ドラッグ&ドロップやマウス操作で簡単にフォーム、ビュー、フィールドなどをカスタマイズできます。また、JavaScriptやCSSといったプログラム言語を利用してデザインをカスタマイズすることも可能です。カスタマイズのほか、「サンプルアプリ」という名前でテンプレートも用意されています。
ワークフロー機能
承認プロセスやタスク管理など、さまざまなビジネスプロセスに対応することができます。
セキュリティの強化
アクセス制御やログ管理など、機密情報を保護するためのセキュリティ機能を備えています。
データを分析して見える化
データベースと連携してビジュアルレポートやチャートなど、ビジネスの傾向や成果を見える化することができます。
APIの豊富さ
多様なAPI※を提供しており、外部サービスとの連携が容易です。また、kintoneで作成したアプリケーションを外部サービスにエクスポートすることもできます。
※ソフトウェアやプログラム、Webサービスの間をつなぐインターフェース(接続口)のこと。
プラットフォームの拡張性
サードパーティ※1のアドオン※2を利用することができ、より多様な機能を使用することができます。
※1 オリジナルメーカーが開発したパソコン・OSや周辺機器に対して、互換性のある製品やソフトウェアなどを販売するメーカーのこと。
※2 ソフトウェアへ新たな機能を追加するためのプログラム、また、その手続きのこと。
kintoneを利用する場合は、以下のいずれかのプランの購入が必要です。
kintone | 料金 |
---|---|
トライアルプラン | 無料 |
スタンダードコース | 1ユーザー 1500円(月額) |
ライトコース | 1ユーザー 780円(月額) |
まとめ
業務効率を改善するために、ローコードツールは欠かせないツールのひとつです。これまで業務アプリケーションなどのシステム開発には時間的・金銭的に大きなコストが発生していましたが、ローコードツールはより便利かつ効率的な業務フローを、素早く低コストで作成することが可能です。
一方で、ツールを導入するだけでなく、先述したように自社の課題を整理した上で、課題解決に至る業務フローをしっかりと作ることも重要です。
ツール導入はできても、業務フローを整理・改善することが難しく、うまく業務効率が改善できない、というケースも少なくありません。そんな場合は、ぜひ協力会社に相談してみてください。
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